地域課題を解決する新規事業をどのように立ち上げるかを考えるワークショップ「ローカルイノベーションプログラム」が3月4日、塩尻市の市民交流センター・えんぱーく(塩尻市大門一番町)で開催された。
塩尻市とリクルートホールディングス(東京)が昨年10月に結んだ包括連携協定の一環として取り組む同プログラムは、昨年12月に続き2回目。ファシリテーターに京都産業大学経済学部教授・京都市ソーシャルイノベーション研究所所長の大室悦賀さんを迎え、ワールドカフェ形式でのワークショップを行った。
当日は市職員、企業やNPOのほか、大学生や塩尻志学館高校の生徒など、約50人が参加した。基調講座では、大室さんが「ソーシャル・イノベーションの創出」と題して、ワールドカフェにおけるポイントについて説明。「前提を壊すこと、未来について多くの選択肢を持つこと、そしてその選択肢をマネジメントするこだわりがプロジェクトやビジネスには必要」とし、「まずは、全体を見て、どういうこだわりがあるのかを聞くこと。ディスカッションでは、5W1Hを使って、学びのあるポジティブな質問を」と呼び掛けた。
5人のテーマオーナーは、空き店舗を使ったゲストハウスやシェアオフィスの運営、地元野菜の首都圏販路拡大などの事業プランを紹介。5つのテーブルを10分交代で回り、参加者は「俯瞰(ふかん)する」「実現したらどうなるか、未来設定をする」ことを意識した質問を投げ掛けた。後半はテーブルの参加者を入れ替え、具体的なアイデアを出しながらディスカッションを行った。
「ここまで大人数で行ったのは初めてだったので、分かりにくさもあったかもしれないが、こちらの意図を理解してくれた人も多かったと思う。今後の展開も楽しみ」と大室さん。「継続的に支援すれば面白いことになると思うし、そのためには行政だけではなく民間の力も重要。行政が黒子となってベストを尽くす環境設定ができるかどうかが鍵になる」と期待を寄せる。
参加した高校生からは、「塩尻の未来を考えている大人と話せたことで、自分たちにもできることがあるのではないかと思った」という声も。リクルートホールディングスメディアテクノロジーラボプロデューサー・幸田泰尚さんは「前回と比べて、高校生の参加も増え、発言も多くなった」と話す。「イベントが進むにつれ、テーマオーナーの本気度の高まりも感じた。今後も組織にかかわらず『地域をもっと良くしたい』という対話が生まれる場が増えれば」とも。