今年30周年を迎える「クラフトフェアまつもと」をつづった本「ウォーキング・ウィズ・クラフト」が5月15日、刊行された。
1985(昭和60)年から始まった同フェア。1回目は45組の出展者だったが、回を重ねるにつれ出展者も来場者も増加。昨年は約270組が出展、2日間で約5万人が訪れた。30年という節目を迎えるにあたり、「これまでとこれからを本にしたい」と企画。昨年から準備を進めてきた。
同フェアの概要や、これまで関わってきた人たちの言葉などを紹介。対談企画に力を入れ、地元の若手クラフト作家4人の対談、「堺クラフトフェア灯しびとの集い」と「ARTS&CRAFT静岡手創り市」の代表者を迎えての対談、地元で同フェアに参加したことがない作家や大学の先生などを交えての対談も掲載する。
編集を担当した新美正城さんと澤谷映さんは、信州大学の学生有志が作るフリーペーパー「隙間(すきま)」(2010年~2012年、現在休刊中)を手掛けたことがきっかけで、同フェアの実行委員会から依頼を受けたという。「単純に歴史を振り返るだけではなく、『これから』を考える一冊にしたいと依頼があった」(新美さん)。「私たちは第三者で、クラフト作家でもフェアの運営者でもない。だからこそ依頼が来たのでは」(澤谷さん)。
「普段は口数少なめなクラフトの世界の人たちの本質的な考えに触れてみたいと、今回は少し『斜め』から質問をぶつけてみた」と新美さん。クラフトの楽しみを言葉にすることは難しかったというが、「いろいろな人が『クラフト』という言葉に込めて語る『理想』の輪郭を少しでもお見せできれば」と話す。「『クラフトフェアまつもと』、そして『クラフト』をいろいろな角度から楽しんでもらえればうれしい」とも。
A5版212ページ(歴代「五月亭」ライブ出演者24組参加による2枚組CD付き)で、1500部発行。価格は1,800円。市内の書店、オンラインなどで販売している。同フェア当日は会場でも販売予定。