「ドキュメンタリーは面白い」-松本で松江哲明監督特集イベント

松江哲明監督(右)が会場からの質問に答える。(左は松本CINEMAセレクト理事長の宮崎さん)

松江哲明監督(右)が会場からの質問に答える。(左は松本CINEMAセレクト理事長の宮崎さん)

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 NPO法人「コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト」は4月29日、「松江哲明監督特集 ドキュメンタリーは面白い!!!」をまつもと市民芸術館(松本市深志3、TEL 0263-33-3800)で開催した。当日は松江監督も来場し、撮影の経緯などを語った。

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 当日は、日本映画学校の卒業制作作品で、1999年山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波特別賞などを受賞した「あんにょんキムチ」(1999年)と、映画関係者だけでなく、さまざまな人たちに大きな影響を与えた「童貞。をプロデュース」(2007年)の2作品を上映した。

 「あんにょんキムチ」は、在日コリアン三世の松江監督が自身の視点で韓国人の祖父を中心に、韓国系日本人の家族が歩んできた歴史や現在をたどる作品。ドキュメンタリーが生み出した偶然のクライマックスは、「おじいちゃんがいい風を吹かせてくれた」と松江監督。

 監督はさらに、「カメラを通すことでちゃんと家族と話をすることができた。カメラがなかったら聞けなかったと思う。家族も自分たちの日々の生活や思いを確認することができたみたい。この作品はあくまで『松江哲明』の視点で撮ったものであって、家族はまた違った視点でおじいちゃんや韓国を見ている」と作品に対しての思いを語った。

 一方の「童貞。をプロデュース」は、童貞の青年2人にカメラを渡し、日常の様子を撮影してもらい、各60時間ほどにもなった素材を同監督が編集した作品。彼らの「恥ずかしいこと」のカミングアウトのシーンは特に会場をわかせ、終始笑いが絶えなかった。彼らの日常生活の中に、ちょっとした演出も仕掛けられているが、「その仕掛けに『引っかかった』ときに見せる表情は本当にいい顔をするんだよね」と、ちょっと意地悪そうにほほ笑む。

 同監督は「『予想外』のものが撮れたときや、コントロールのできなさ」がドキュメンタリーの魅力という。「ドキュメンタリーは現実を変える力がある。出会うはずのない人、生まれるはずのないものが映り込んだときがチャンス」とも。

 質疑応答の時間でも、一つ一つの質問に丁寧に答えていた同監督は、予定していた特急あずさに乗れず、1本遅らせるというハプニングもあったが、「大丈夫、大丈夫」とロビーに集まった観客たちと談笑を続けた。

松江哲明監督ブログ「every japanese woman cooks her own curry」「あんにょんキムチ」サイト「童貞。をプロデュース」公式サイトNPO法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト

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