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安曇野で動植物モチーフの木版画展-「東京」シンボルの花や鳥描く

色鮮やかな百瀬さんの作品。右側4枚が「階調四季禽獣図」

色鮮やかな百瀬さんの作品。右側4枚が「階調四季禽獣図」

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 安曇野の「ギャラリー留歩(るぽ)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-6785)で現在、版画家・百瀬晴海さん(29)による個展「百瀬晴海 木版画展~動物たちの休日~」が開かれている。

長野県の県鳥・ライチョウを描いた作品も

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 動植物をモチーフにした木版画40点を展示する同展。東京都内の市や23区のシンボルとして指定されている花を描いたシリーズ作品は、2008年から2009年にかけて制作したもの。世田谷区で育った百瀬さんは「子どものころ、自分の区の花を知ったことがきっかけで地元への愛着が深まった。ほかの区の花も気になり、『私の住む町東京と自然』をテーマに制作した」と話す。「ツツジ」は、荒川区や墨田区など10区が指定している花だが、全て構図や花の色などを変えて、変化を付けている。調べるうちに、花だけではなく鳥や木も指定しているところもあることを知り、一昨年には東京都の区や市の鳥をモチーフにした作品の制作も始めたという。

 背景のグラデーションが特徴的な百瀬さんの作品。新作の「階調四季禽獣図(かいちょうしききんじゅうず)」は、グラデーション(階調)の技術を深めようと意識して制作したもの。春にはゾウ、夏にはキリン、秋にはレッサーパンダ、冬にはオオカミをメーンに描き、それぞれの季節に咲く花や活動する動物・昆虫を描いている。「今までの作品は1枚の中にたくさんの要素を入れないようにしてきた。今回は絢爛(けんらん)さを出したくて、さまざまなモチーフを盛り込んだ」。4枚全てに描かれたカエルは「愛嬌(あいきょう)があるので、いいアクセントになってくれる」

 百瀬さんは日本大学芸術学部美術科の版画コースを専攻。卒業制作展を行った「ギャラリー川船」(東京都中央区)のオーナーと百瀬さんの父が知り合いだったことがきっかけで、同ギャラリーでの個展開催につながった。「今風の作りをする人が多い中、しっかりした仕事をする人だなと感じた」と同ギャラリーの米澤章雄さん(65)は話す。

 今年12月発行予定の「鉄道ジャーナル2月号」(鉄道ジャーナル社発行)から、鉄道に関する版画作品とコラムの連載が始まる百瀬さん。「新しいモチーフなので、少しずつ試作している。新しい挑戦ができてうれしい」と話す。「人の縁というのは面白いもので、とてもありがたいと思った。気軽に作品を見に来てもらえたら」と笑顔を見せる。

 作品は販売も行う。価格は1万円~。営業時間は11時~17時。入場無料。9月30日まで。

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