現在発売中の雑誌「美術手帖」(美術出版社)2012年4月号が、松本出身の前衛芸術家・草間彌生さんを特集している。
同誌では、日本人作家初の快挙となる欧米4都市の現代美術館を巡回する草間さんの回顧展「YAYOI KUSAMA」の様子をはじめ、草間さんへのインタビューや制作風景を掲載する。「芸術家 草間彌生ドキュメント」として草間さんの生い立ちと軌跡を細かく追いながら、各時代に書かれた評論と併せて振り返ったものも。
「半世紀を超える長い作家活動の中で、時代ごとに新たな手法をもって代表作を次々と生み出してきたのが草間さんのすごさ。その時代ごとに作品と人生を解説することで、草間さんの歩みがより伝わるような構成を心掛けた」と同編集部の保田美樹子さん。
松本市美術館の前で黄色いワンピースを着て撮影された写真や、松本平の地域新聞「市民タイムス」を毎朝読んでいることなど松本に関わるエピソードも紹介する。
欧州の回顧展や国内で開催中の巡回展「草間彌生 永遠の永遠の永遠」のタイミングに合わせて発行した同誌。作品制作の現場に立ち会ったという保田さんは「下絵もないまま大きなキャンバスに向かって、迷いなく筆を進め描いていく迫力とその集中力に圧倒された」と話す。「ロンドンのテート・モダンでの個展では、現地の関係者や記者に囲まれて熱狂的といっていいほど大歓迎されていた。草間さんは大変感動しながらも堂々とした様子で、手を振って歓声に応えている姿も印象的だった」
保田さんは「作品の素晴らしさをより理解するために、本人の人生とその魅力をもっと知ってもらえたら」と話す。
価格は1,600円。