松本・島立の大信州酒造(松本市島立、TEL 0263-47-0895)が8月21日、酒米が作られている田んぼを散策するツアー「大信州田んぼ散策ツアー2011」を開催した。
同イベントは、同社で醸造する日本酒に使われている酒米作りの現場を見て、酒造への理解を深めてもらおうと企画。今回が初めての開催となる。県内に8軒ある契約農家のうち松本平にある4軒を回る「ウオーキング」と、酒米で仕込んだ日本酒を飲みながら交流する「生産者との語らい」の2部構成で、同社の新入社員なども合わせて約15人が参加した。
ウオーキングでは小雨が降る中、本社周辺の田んぼを回って各農家が説明した。酒米として作っているのは県の酒造好適米の定番ともいえる「ひとごこち」と、「幻の酒米」と呼ばれる「金紋錦(きんもんにしき)」の2種。まずは「浜農場」の田んぼを見学した。「酒米は普通の米よりも粒が大きい」と浜幾洋さんが稲を手に説明。「今年は平年並みで、いい米が採れると思う」とも。
「高山の里」の田んぼでは、「ひとごこち」と隣で作っている「コシヒカリ」を比較。高山典士さんが「ひとごこちは(コシヒカリと比べて)生育が早い。田んぼがより緑色に見えるのは、穂先が垂れて葉がよく見えるため」と話すと、参加者からは感心したように「へぇ」「なるほど」などの声が上がった。貴重な「金紋錦」を作っている「やまだふぁーむ」の田んぼでは、山田桂一郎さんが他の品種との見た目の違いや系統について説明。その後、車で移動し、細田農産(安曇野市三郷)の田んぼを見学した。
当日、説明のために同行したのはいずれも若手農業者ばかり。「若手が跡を継いで頑張ってくれているので、これからが楽しみ」と同社の関澤結城常務。「生産者、醸造所をつないで、酒造りに興味を持ってもらえるような機会を、これからも作れれば」と話す。