松本市里山辺の松本民芸館(松本市里山辺下金井、TEL 0263-33-1569)で現在、「山里の民芸 ざる・かご展」が開催されている。
同館創設者の民芸作家・丸山太郎氏が収集した編組品600点余りのうち約200点を展示する同展。かごやバック、行李(こうり)などのほかに、笠や魚を入れるびく、鍋敷きなどの日用品が並ぶ。松本のみすず細工や戸隠の根曲がり竹細工など県内をはじめとする日本各地で作られたものだけではなく、中国、マレーシア、韓国、ペルーなど世界各地のものも。竹、わら以外にも、アケビやヤマブドウ、マタタビのつるや木の皮など多種多様な素材が使われている。「いつごろ作られたか詳しくわからないものも多いが、古いものは江戸時代くらいのものだと思う」と館長の丸山廣登さん。
丸山氏は1909(明治42)年、松本市中町生まれ。戦後、民芸運動の担い手の一人として活動し、民芸作家として版画や螺鈿(らでん)卵殻細工などの作品を制作する一方、全国各地や韓国、台湾などの道具屋を巡り日用品を収集した。自著では日用品について、「近ごろは化学製品の軽薄な商品が氾濫(はんらん)している。これらの商品には美や愛情や誠実さをうかがえる物が少ない。美しい物に取り囲まれ、それを使い、心豊かに、潤いのある日常生活をしたいと思う」と記している。同館は現在、7,000点近くの収集品を蔵する。
「一見、どこの家にでもありそうなものに見えるが、今欲しいと思ってもなかなか手に入れることができない」と丸山館長。「編む前に材料をきちんと整えないと、このような編み目にはならない。編む作業はもちろん、材料の準備も丁寧に行うからこそできるもの。編み目など一つひとつがきれいなのでゆっくり見てもらえれば」と話す。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入場料は、高校生以上=300円、中学生以下は無料。月曜休館。9月5日まで。8月1日には「子ども民芸教室」を開催する。参加費は1,000円で、申し込みは同館まで。