松本市の中心市街地で1月9日・10日、新春恒例の「松本あめ市」が行われ、17万8千人の人出でにぎわった。
「松本あめ市」は戦国時代に武田信玄が治めていた信濃に、上杉謙信から送られた塩が松本に届いたのが1月11日と言われ、それを記念して始まった「塩市」が起源。その後江戸時代にあめを売る店が出始め「あめ市」と呼ばれるようになり、近年では1月の第2土曜・日曜に行われるようになった。
沿道では縁起物の福あめや福だるまを販売する露店が並び、地元の子どもたちが「だるまはいかがですかー」と元気に呼び声をかけた。「景気が悪い時こそ…」と、大きなだるまを買い求める人の姿も。10日には本町・中町・伊勢町などの各通りが歩行者天国となり、七福神の装いをした時代行列や獅子舞、各町会によるみこしなどが街中を練り歩いた。七福神は手にあめの入ったかごを持ち、道行く人たちにあめを配った。各町会で行われた酒や豚汁、七草がゆなどの振る舞いには長い行列ができた。
成人式も行われた同日、松本城では市と市教育委員会の企画で、新成人を対象に甲冑(かっちゅう)武者との記念撮影会が行われ、あめ市ににぎわいを添えた。あでやかな振り袖姿の新成人が多く集まり、参加した中澤千春さんは「新聞でこの企画を知った。こうした機会はめったにないのでうれしい」と笑顔を見せた。
メーンイベントとなる「塩取り合戦」は、一般参加者を含む320人が対戦。同合戦は、中央2丁目交差点に置かれた「御塩神様」と呼ばれる塩俵を中心に、北側に上杉謙信勢(本町1丁目)、南側に武田信玄勢(本町2丁目)が陣を取って行う3本勝負の綱引き。塩俵に両チームの若頭や大将が乗り込み、鉄砲の合図とともに「よいしょ、よいしょ」と威勢のいい声を上げながら綱を引いた。1本目は「合戦史上おそらく初めて」という引き分け、2・3本目は上杉勢が制し、3連覇を狙う武田勢を破って3年ぶりの勝利を収めた。上杉勢の若頭は「連敗は避けたかったので、勝てて良かった」と勝利を喜んだ。