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松本で「アトツギの学校」 地域企業の後継者の学びと出会いの場に

(左から)矢島義拡さん、宮坂勝彦さん、藤原隆充さん

(左から)矢島義拡さん、宮坂勝彦さん、藤原隆充さん

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 地域企業の後継者を対象にした学びと出会いをつくるイベント「アトツギの学校」が9月18日、松本市のICT拠点施設「33GAKU(サザンガク)」(松本市大手3)で行われた。

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 地域の企業にとって、重要な課題となっている「事業継承」をテーマに企画した。既に事業を継承した人や、今後引き継ぐ予定の人を対象に、悩みや不安について共有できる仲間をつくることと、実践的な学びの場を設けることを目的にする。毎回、地域内外からゲストを招いたトークセッションを行い、その後交流会を開く。

 初回は、「池の平ホテル&リゾーツ」(立科町)社長の矢島義拡さんと「宮坂醸造」(諏訪市)社長室室長の宮坂勝彦さんがトークゲストとして登壇した。家業を継いだ2人はそれぞれ、経緯や苦労したこと、現在注力していることなどを話した。ファシリテーターを務める藤原印刷(松本市新橋)専務の藤原隆充さんが、同じ事業継承者という目線から時々疑問を挟みながら、和やかに会話が進行した。

 28歳で事業を継承したという矢島さんは「変えてはいけないものは何かを決めることを大事にした」と振り返る。都内の百貨店やイギリスの販売代理店で経験を積んだ後入社したという宮坂さんは、自社の看板商品のリブランディングについて説明した。

 後半は、クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」のセールス局長で九州拠点責任者の宮田紗良さんが事例を紹介。「新商品をいち早く市場に出す手段」としての活用方法や、福岡県が主催する「アトツギ支援プログラム」などについて話した。

 「アトツギ」は、先代から受け継いだ有形無形の経営資源や伝統を活かし、新規事業、業態転換、新市場開拓など新たな領域に挑戦する後継者及び後継予定者を指し、近年はピッチイベント「アトツギ甲子園」の開催や、自治体が「アトツギ向け支援事業」を行うなど、広がりを見せている。同施設の阿部航大さんは「家業を継ごうと戻ってきても相談相手がいないといった話も聞く。ネットワークを構築することで、前向きに取り組める人を増やしたい」と話す。今後も継続して開催する予定。「定期的に顔を合わせる機会を作り、ムーブメント化して盛り上げていけたら」とも。

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