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松本の書店で雑誌「sees magazine」創刊イベント 「新しいものさし」考える

トークイベントの様子

トークイベントの様子

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 自然と社会の関係性を見つめる雑誌「sees magazine(シーズマガジン)」の創刊トークイベント「まちの『Rescale(リスケール)』」が6月3日、松本市の書店「栞日(しおりび)」(松本市深志3)で行われた。

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 2023年5月、伊那市にオープンした農と森のインキュベーション施設「inadani sees」が手がけた同誌。ローカルインキュベーション施設として、「つづいていくまち」をつくるきっかけにしたいと立ち上げた。創刊号のテーマは「Rescale」。地域の資源で経済と社会と自然を循環させるためのビジネスとは何か、「規模の再編集」と「新しいものさし」から考える。同施設のマネジャーを務める「やまとわ」(伊那市)の奥田悠史さんは「見えているものや見えないものと、どうやって視点(=sees)を合わせていくか。価値観を新たにすることで、地域資源と生きていく規模をつくり直したい」と話す。

 当日は約20人が参加。奥田さんと同店や銭湯「菊の湯」を経営する「栞日」の菊地徹さんが登壇し、語り合った。菊地さんは同誌の冒頭の「つづいていくまちへ、」という言葉について、その先に何が続くのかを問い、奥田さんは「希望や期待を込めた言葉を続けたい」と答えた。

 奥田さんは信州大学農学部で年輪を研究し、森林ディレクターとしても活動。「森を受け継ぐことは、これまで守り、頑張ってきた人の姿も見ている。こういう背負い方をする人もいるんだ、ということを知ってもらうことが必要」と話し、勝ち負けやコスパ、タイパといった数値だけで測るのではなく、「まちのものさし」を持つことが大事だとした。菊地さんは銭湯を受け継いだことを「銭湯がある風景を松本に残したいという一心だった。これもリスケールの一つ」と振り返った。

 イベントは和やかな雰囲気で進行。「同じ学年の学生で、仕事に就いて伊那に残るのは数人しかいない」という信大農学部の大学院生の声や、「創刊号(の取材先)には、まちの風景に欠かせない建築家の姿がなかった」という声もあった。次号についての期待も寄せられた。

 創刊イベントは初開催で、今後もさまざまな地域で展開していきたいという。「地域の在り方で共感できる点も多かった」と奥田さん。菊地さんは「ローカル同士の個別性を意識しながら、近況を共有することが強さになっていくと思う」と話す。

 「sees magazine」の価格は2,200円。市内では同店と丸善松本店で販売する。

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