
美術作家・ウエダキヨアキさんによる個展「ウエダキヨアキ展IX」が5月10日、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で始まった。
カップや皿、ポットのほか、ふたものや抹茶わん、オブジェなど約200点を展示する。画家の経歴を持つウエダさんの作品は細かい絵付けが特徴。カラフルな絵付けや異なる色合いの取っ手が付いたものなど、多彩な作品が並ぶ。
浄化や再生をテーマに長年取り組んでいる「浄華(じょうか)」シリーズは、胞子のような植物が描かれている。オーダーで制作した花器は、地の色も模様も黒にして、シックな印象に仕上げた。壁掛けの花のオブジェは木の枝を和紙で包み、陶器と組み合わせている。
抹茶わんやオブジェには、和紙を貼って墨で絵を入れた箱も用意。干支(えと)にちなんだオブジェにはヘビを、抹茶わんには柄に合わせて植物や鳥を描いた。中には、魚やカニなど海鮮を描いた箱もある。「特に関連はないけど、描きたくなるときがある」とウエダさん。絵柄を気に入って、箱だけを買い求める人もいるという。
2008(平成20)年からほぼ隔年のペースで続けてきた同ギャラリーでの個展は、今回で最後となる。初回はウエダさんが器の個展を始めたばかりの頃で、「和室という空間で、庭もあるので、いろいろと面白いこともできたし、勉強になった」と振り返る。インスタレーション作品やびょうぶを出品したり、本格的に茶道具に取り組んだりと、他のギャラリーではできないことにも挑んできたという。
初日はオープン早々から多くの人が訪れ、一つずつ作品を吟味したり、ウエダさんに作品について質問したりしていた。常連客の中には、猫や魚などレアなモチーフに気付いて話をする人も。同ギャラリーの瀧沢一以さんは「ウエダさんの作品は本当に一期一会。手に取ってその手仕事を感じてもらえれば」と呼びかける。
価格は小皿=3,520円~、カップ=3,960円~、干支オブジェ=1万1,000円など。営業時間は10時~18時。日曜・木曜定休。今月31日まで。