走る列車の中でプロレスの試合をする「プロレス電車」が9月29日、アルピコ交通上高地線で行われた。
プロレス団体「プロレスリングFREEDOMS(フリーダムズ)」(神奈川県茅ケ崎市)と共同で初開催。「アルピコ・レスリング・エレクトリックトレイン(AWE)」旗揚げ戦と銘打ち、2両編成の車内を行き来しながら熱戦が繰り広げられた。電車は新村駅発着で、松本駅と新島々駅で折り返し、約2時間かけて線内を運行。揺れ動く車内で、乗客約80人は座席から試合を楽しんだ。
試合はトーナメント方式のタッグマッチで、4組・8選手が戦った。上高地線のイメージキャラクター「渕東(えんどう)なぎさ」も登場。同社の制服を着て手旗信号用の赤と緑の旗を振る姿に、客席からは「なぎさ~!」という声援が飛び交った。事前に参戦を告知されていた「大物X」として、越中詩郎選手が現れると、どよめきと大きな拍手が湧いた。
ロープの代わりに「つり革ブレイク」としたり、試合を終えた選手が座席に座って観戦したりと、狭い車内ならではの距離感でイベントは進行。乗客からは「リングサイドよりも近い」「迫力がすごい」という声も聞かれた。
3試合行われた後の表彰式で、チャンピオンベルトが1本しかないことが発覚。急きょ、これまでタッグを組んでいた2人によるシングルマッチが行われた。これまで「なぎさ」に扮(ふん)して戦っていた山下りな選手は本来の姿で、葛西純選手とデスマッチに挑み、死闘の末、葛西選手が初代チャンピオンに輝いた。
企画したアルピコ交通鉄道事業部の桜井秀憲課長は、上司と共にプロレス観戦することもあるほどのプロレスファン。鉄道以外にも楽しめるコンテンツとして考えたという。告知ポスターもプロレス風にデザインし、当日限定のヘッドマークやAWEのロゴ入りTシャツなども用意。「皆さんのプロレス熱を感じるイベントができて良かった。県外から足を運んでくれた方も多く、上高地線を知ってもらうきっかけにもなったと思う」と笑顔を見せる。