パリ2024パラリンピックの開幕が8月28日に迫り、9月1日に初戦を迎えるブラインドサッカー男子に出場予定の松本美須々ケ丘高校3年・平林太一選手を応援するムードが市内で高まっている。
ブラインドサッカーは、キーパー1人とアイマスクを装着したフィールドプレーヤー4人で1チーム。転がすと音が鳴る専用のボールを使い、ボールが外に出ないようにサイドラインに壁を設置する。攻撃時には、相手ゴールの後ろに立つ「ガイド」が声を出し、ゴールの位置や距離、角度などを伝える。試合時間は、前半と後半それぞれ15分。日本代表は予選グループBで、コロンビア(9月1日18時30分キックオフ)、モロッコ(2日20時30分)、アルゼンチン(3日20時30分、以上日本時間)と対戦する。
平林選手は生坂村出身。松本山雅B・F・Cに所属し、2022年、日本代表デビューで最年少得点記録を更新。昨年行われた世界選手権ではチーム最多の4得点を決め、パラリンピック出場権獲得に貢献した。
初出場となる平林選手の雄姿を見届けようと、松本・中町のラーメン店「麺州竹中」(松本市中央2)の店主・根本弥さんは渡仏に向けて準備を進めている。8月17日にアルウィンで行われた松本山雅のホーム戦ではサポーターに声をかけ、国旗には100人近くのメッセージが集まった。応援メッセージや「オー・シャンゼリゼ」をモチーフにしたチャントも撮影し、平林選手に送信。根本さんは「試合中に音は出せないが、OKの時間帯に皆でチャントを歌いたい」と話す。現地では、ブラインドサッカー日本代表のコールリーダーと合流して応援する予定だという。
東日本大震災の後、仙台でブラインドサッカーを知り、「松本山雅にもチームをつくってほしい」とクラブに呼びかけていた根本さん。高校で軽音楽部に所属する平林選手とは、自身が企画する音楽イベント「竹中フェス」への出演を依頼したことがきっかけで、交流が始まった。代表選出を知り、山雅後援会の下部組織「チームバモス」の一員としてブラインドサッカー体験会などに携わってきた友人の田中さんを誘い、全試合のチケットを確保。「田中さんは弱視なので、見えるうちに一緒に見ようと声をかけた」と振り返る。
「メダルにこだわるわけではないが、太一君には『頑張った証し』を手にしてもらいたい。本人が望むような結果を出せるように、精いっぱい応援したい」と根本さん。9月28日に「竹中フェス」を開催予定で、代表合宿などと重なり、まだ一度も出演が実現していない舞台に「凱旋(がいせん)してほしい」と笑顔を見せる。