安曇野市が現在、同市出身の作家・臼井吉見さんの小説「安曇野」の復刊に取り組んでいる。
臼井さんがおよそ10年かけて完結させた長編大河小説。明治から昭和初期までの激動する日本の社会や思想を描いた物語で、郷土ゆかりの5人の若者をメインに、実在する人物2000人以上が登場する。1974(昭和49)年に最終第5巻が刊行され、現在は絶版になっている。市政策経営課の白鳥和子さんは「安曇野の名を全国に広めてくれた小説。地元では、年配の人を中心に多くの人が読んでいる」と話す。
NHK大河ドラマ化を目指したPR活動の一環で、完結50年の節目に「若い世代にも知ってもらいたい」と、市が復刊に動き出した。2022年から、小説に登場する「新宿中村屋」や臼井さんの子孫などと会談を開いたり、パンフレットやウェブサイトを作ったりと、ドラマ化への機運を高めるためさまざまな取り組みを行ってきた。
先月30日から復刊費用を募るためガバメントクラウドファンディングを始めると、8日間で目標金額の100万円を達成。12日正午時点で108人が支援している。「多くの人が関心を持ち、協力してくれてうれしい」と白鳥さん。
発行元の筑摩書房(東京都)に対し費用を負担し、来年2月をめどに発行予定だという。白鳥さんは「今後も、安曇野の名前が皆さんの目にとまるよう、PRを続けていきたい」と力を込める。
復刊費用は8月27日まで募る。