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松本・大名町のはんこ店が県歌「信濃の国」角印 「彫る技術」知るきっかけに

オブジェとして製作した3センチの角印。1番の歌詞がぴったりと収まっている

オブジェとして製作した3センチの角印。1番の歌詞がぴったりと収まっている

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 松本・大名町のはんこ店「木下製印社」(松本市大手3、 TEL 0263-32-2665)が、長野県歌「信濃の国」の歌詞を彫った角印を製作した。

押印ができるゴム印タイプ

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 3センチの角印に、1番の歌詞、72文字を彫った。材は一般的だというさつま本柘(つげ)を使用。文字は反転させずに、そのまま読めるようにして製作した。木下匡晃社長は「はんこは受注生産で、出来上がったものはお客さまにお渡しする。印影を公開することもできないので、はんこ屋の技術を知ってもらう機会になればと考えた」と話す。

 「信濃の国」は、1899(明治32)年に長野県師範学校教諭・浅井洌(きよし)が作詞、翌年に同校教諭・北村季晴(すえはる)が作曲した「信濃教育会」の唱歌。1966(昭和41)年、長野県が県章やシンボルを決定した際に、県歌とする案が上がり、1968(昭和43)年に制定した。2015(平成27)年、県民に対して認知度調査を行ったところ、約8割が「歌える」と回答。テレビ番組などでも「長野県民のほとんどが歌える」と度々話題になっている。

 木下さんは、「信濃の国」の歌詞を彫ってみようと考え、まずは信濃教育会に連絡。商用利用について確認すると、70年以上経過しているので問題はないということが分かり、製作することにした。「ぱっと見たときにそのまま読めて、分かるようにしたかった。はんこというよりもオブジェ、作品のような感覚だった」と振り返る。

 その後、SNSに投稿すると予想以上の反響があり、「欲しい」「いくらですか?」などのコメントも寄せられた。「旅館など観光客が多いところに置いたり、お土産にしたりと、さまざまな場面で使える」と、押印ができるゴム印タイプも製作。サイズ展開も視野に入れつつ、現在、販売へ向けて準備を進めている。

 同社は1945(昭和20)年創業。1955(昭和30)年に現在の場所に移転した。松本城から近いこともあり、松本の魅力を積極的に発信している。木下さんは「信濃の国の歌詞を使ったほかのアイテムや、校歌を彫ったはんこなども作れそう。これをきっかけに、いろいろなアイデアが広がりそうで楽しみ」と笑顔を見せる。

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