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松本のギャラリーカフェで「工房ととか」夫婦展 里山の時空間を感じて

工房名は2人の名前の頭文字から付けた。フィジー語で「すてきな」という意味があるという

工房名は2人の名前の頭文字から付けた。フィジー語で「すてきな」という意味があるという

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 筑北村に「工房ととか」を構える菊地克典さん・智子さん夫妻による「工房ととか展 里山時空間」が現在、松本市のギャラリーカフェ「Gargas(ガルガ)」(松本市深志3、TEL 0263-39-5556)で開催されている。

里山のゆっくりとした時間、空間をテーマにした木工作品と陶芸作品が並ぶ

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 木工作家の克典さんは、ボウルや皿、漆塗りのわんや箸のほか、時計など約90点を出品。スプーンはノーマルタイプと漆を施したものがあり、持ち手の部分は樹皮を残した。工房近くの山で自ら切った木をメインに用いて、長く使ってもらえるものを意識した作品作りをしているという。時計はエンジュの丸太と5、6年熟成させたクヌギを加工したものがある。「熟成木の色や模様、丸太の年輪からも時間を感じてもらえれば」と克典さん。

 陶芸家の智子さんは、皿やマグカップ、ソーサー、耐熱鍋など約90点を展示する。新作の時計は工房から見える風景をイメージ。異なる粘土を重ねる「練り込み」と彫った部分に違う粘土をはめる「象眼」の技法で制作した。薄桃色の斑点が付いた粉引(こひき)の作品もある。斑点は酸素を制限する「還元焼成」で焼き上げると出てくるという。智子さんは「桜のように見えるので、春の茶会で使う人もいる」と話す。

 陶器に漆を塗って仕上げる「陶胎(とうたい)漆器」のタンブラーや高杯など2人がコラボした作品も。中には内側をスズでコーティングしたものもある。「スズを使うとお酒がまろやかになり、よりおいしくなる」という。

 克典さんは神奈川県出身。2001(平成13)年に木曽に移住し、上松技術専門校で木工を学び、「クラフトフェアまつもと」などに出展していた。智子さんは阿智村出身。1992(平成4)年から香港で陶芸を始め、帰国後は益子焼の工房で修業。2000(平成12)年からは安曇野・穂高で活動していた。2人は20年ほど前の「クラフトピクニック」で出会い、結婚。互いにもっと広い場所で制作がしたいと考えていたところ、知人から筑北村の物件を紹介された。

 同店での展示は初めて。昨年9月に智子さんが個展を開いた池田町のカフェと同店に交流があったことがきっかけで展示を企画した。タイトルは里山に流れるゆっくりとした時間や工房での制作の雰囲気を感じてほしいという思いから付けた。「山の中で作るからこそ、かけられる時間や表現できるものがあると思う」と克典さん。智子さんは「実際に手に取って作品のぬくもりを感じてもらえたら」と話す。

 価格は、練り込みの皿=2,750円~、高杯=6,600円~、わん=9,900円~、時計=9,900円~など。営業時間は11時~19時。月曜・火曜定休。6月25日まで。

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