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松本に洋菓子店「壱」 市近代遺産「旧宮島肉店」活用、建築芸術祭で一目ぼれ

石製のカウンターの上にショーケースを置く。店内にはいずれ、テーブル席も設ける予定

石製のカウンターの上にショーケースを置く。店内にはいずれ、テーブル席も設ける予定

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 松本城北東側に洋菓子店「菓子 壱」(松本市丸の内)がオープンして2カ月が過ぎた。

趣のある店舗外観

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 大正~昭和初期に建てられ、市近代遺産になっている「旧宮島肉店」を活用。石製のカウンターはそのままに、壁を補修し、南側には新たに窓を設けた。店舗面積は約12坪。イートインスペースに6席を設ける。

 フランスの郷土菓子や焼き菓子をメインに提供する。ブルターニュ地方の、ラム酒が香る甘酸っぱいサブレ「ガレットブルトンヌ」(250円)やアプリコットジャムを使った「ウィークエンドシトロン」(370円)など5、6種類。ドリンクはカフェラテやアメリカーノ、レモネード(以上500円)などを用意する。店主の朝吹太(たいち)さんは「今後は店内で出す生菓子や、お土産にできる日持ちする商品など、バリエーションを増やしたい」と話す。

 朝吹さんは奈良県で生まれ、いくつかの土地を経て、中学校入学時に東京へ移り住んだ。お菓子作りはその頃から始め、「母がよくパンを焼いていたので、自分で作ることに興味を持った」と振り返る。高校時代は学校の調理室で作っていたこともあり、友人とのコミュニケーションツールのような役割を果たしていたという。卒業して製菓の専門学校に進み、その後はフランス発祥のレアチーズケーキ「クレームダンジュ」に憧れて渡仏。アンジュ地方にあるパティスリーとショコラトリーで1年ほど働いた。

 帰国後は都内のコーヒー店に勤務していたが、2020年春、新型コロナの影響で、オンラインで焼き菓子販売を始めた。母が東京・国立市で営んでいた「カフェ・れら」が松本・蟻ケ崎に移転することを機に移住。イベント出店などを行いながら、実店舗を構えたいと考えていたという。2022年に初開催された「マツモト建築芸術祭」の会場の一つだった「旧宮島肉店」を訪れて一目ぼれ。実行委員会を通じて所有者とやりとりし、昨年5月、借りることが決まった。

 平日は近所の人が訪れることが多く、中には1960年半ばまで営業していた「宮島肉店」時代を知る人も。「どういう店だったのか教えてもらうこともある。いつか当時の写真などが見つかったら飾りたい」と朝吹さん。庭で採れたというヨモギをもらって作ったケーキが「抜群においしい」など、地域になじむことを楽しみながら、日々お菓子作りに励んでいる。「店は続けていくことが大事。皆さんに使ってもらえる店にしていきたい」とも。

 営業時間は、平日=12時~18時30分、土曜・日曜・祝日=10時~17時。火曜~木曜定休。

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