ワインづくりと副業を通して「新しい地方暮らし」の可能性を検証する社会実験「地方副業×ワインづくり」が8月、塩尻市内で始まる。
ソフトウェアの開発などを行う「エプソンアヴァシス」(上田市)が社員のアイデアを基に進める新規事業の一つで、住居の確保など一括してサポートを行う。ワインづくりに興味はあるが、移住や資金などの要素から実現できない人を対象に、参加者を募集。8月21日から来年1月31日までの期間中、週1日程度、市内のワイナリー及びブドウ畑で栽培や醸造などに関わってもらう。副業先は同社で、リモートなどで業務を用意し、報酬も支払う。住居はシェアハウスを用意し、地域の人たちと交流できるようにする。募集締め切りは6月18日。7月下旬には4人を選定する。居住地は問わない。6月1日と7日にオンラインなどで説明会を行う。
同社では2020年から、「作る」から「創る」への発想の転換を目的とした「SIP活動(ソフトウェアイノベーションプロジェクト)」を取り入れた。仕事を効率化し、個人の自由な時間を増やすことで、自発的に活動しやすい環境づくりをしている。
発案者の依田剛さんは、SIP活動開始とともに、ワイン事業に挑戦。法人会員として塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」に参加し、さまざまなプロジェクトに携わった。「これをきっかけに地域に興味を持つようになった。当社のビジョン『人びとを幸せに、発想と技術で未来をクリエイトする』と、自分が住んでいる塩尻のワインを結びつけたいと考えた」と振り返る。
4月に多拠点生活プラットフォームを運営する「ADDress(アドレス)」(東京都)の社員で、市の地域おこし協力隊に所属する保延祐希さんに相談して、住居を手配。その後、ワイナリーにも声をかけるなど準備を進めてきた。依田さんは「実際の地方の暮らしがイメージできるよう意識した。新たなライフスタイルの創造につながれば」と話す。
参加申し込みはウェブサイトで受け付ける。