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松本の書店で大曽根淳さん個展「slow」 穏やかな表情の木彫35点

大曽根さんが好きなゾウガメをモチーフにした「眠いカメくん」

大曽根さんが好きなゾウガメをモチーフにした「眠いカメくん」

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 安曇野市在住のアーティスト・彫刻作家の大曽根淳さんの個展「slow」が現在、松本・元町の書店「本・中川」(松本市元町1、TEL 0263-33-8501)で開催されている。

「あなたへ」顔の向きを変えられるようにし、手にはドライフラワーを持たせた

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 そよ風に吹かれている人や手に花を持った人、動物などの木彫35点を展示する。素材にはイチイの木を使い、樹皮や節を生かして制作。着色には墨とクレパスを用いた。「眠いカメくん」は大曽根さんが好きなゾウガメが首を引っ込めて寝ている様子を表現。店主の中川美里さんは「事前に『こういうものを作ろう』と思って制作するのではなく、自然と手が動くままに彫っていったものが作品になっている」と話す。

 「蝶のひと(兄、弟)」は切り出した木片を半分にして人型に形成。背中に付けた布製の羽はミシンで縫い、それぞれ違う模様にした。弟の方は彫っていた所に穴が出てきたが、作品の一部として残したという。「月の赤ちゃん」は月を人の姿に見立てて、気持ちよく寝ている姿を表現。ほかにも「満月さん」「天使と星」など夜のモチーフを使った作品を出品する。「大曽根さんは子育てもしていて、家族が寝静まった時間に制作することが多いため、夜に関わるものが多いのではないか」と中川さん。

 海で拾った木片を使った「やさしい月夜」は墨で陰影を出し、絵画のように仕上げた。中川さんは「墨の絵も描いているので絵と木彫が混ざった感じがして面白い」と話す。ほかに羽が生えた馬に見えたというケヤキの樹皮で作った「羽馬」、体を伸ばしている人を果物の殻の中にディスプレーした「伸び」なども展示する。

 同店での個展は5回目。ここ2年は墨を使って絵を描いていたが、ふと木を彫りたくなって少し試してみたら楽しくなり、制作を再開したという。展示を見た人からは「年度末、年度始めで忙しかったが、ゆったりとした時間を過ごせた」という声も。中川さんは「どれもお地蔵さんみたいに穏やかな表情で、見守ってくれている感じがする。ゆっくり見て、何度でも会いに来てもらえたら」と笑顔を見せる。

 価格は、「月の赤ちゃん」=1万4,000円、「蝶のひと」=3万5,000円、「眠いカメくん」=4万円など。営業時間は12時~18時(金曜・土曜は19時まで)。月曜・火曜定休。4月23日まで。

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