市民団体「まつもとフィルムコモンズ」が、昭和時代の日常を紹介する地域映画「まつもと日和」の上映会を2月25日・26日、松本市中央公民館・Mウイング(松本市中央1)で開く。
8ミリフィルムは1950~70年代に一般家庭に普及した映像記録フォーマットで、当時の日常や地域のイベント、祭りなどが収められているものが多いという。昨年6月から、松本市内で撮影された8ミリフィルムを募集。寄せられた345本のうち184本をデジタル化した。信大生が協力し、提供者を訪ねて映像を見ながらインタビューした様子も撮影した。
BGMとして使うのは「松本市歌」。1940(昭和15)年に制定されたが、次第に忘れ去られ、音源も残っていない「幻の市歌」といわれていた。活動に携わる信大生がゼミで調査し、作曲者直筆の譜面を発見。松本市を拠点に活動するデュオ「3日満月」の権頭真由さんが楽譜を起こし、信大生や信大付属中学校の生徒のほか、以前「歌ったことがある」という90代の女性も参加して録音した。
アニメーションは清水中学校の美術部員が担当。デザイナー・イラストレーターで同校卒業生の太田真紀さんが指導し、動きをトレースするロトスコープという手法を用いて制作した。
昨年10月には、地域や家庭に眠るフィルムを持ち寄り上映する「ホームムービーの日」に合わせたイベントを開催し、9本のフィルムを上映した。10代から90代まで幅広い世代が参加。和やかな雰囲気で、フィルムの提供者が内容を説明したり、当時の出来事や思い出を来場者と振り返ったりした。
映画は約1時間。多くの人が携わる姿も交えて編集したという。映像制作会社「アルプスピクチャーズ」(松本市清水1)代表で映画監督の三好大輔さんは「想像以上にたくさんの人が関わってくれて、大きなプロジェクトになった。その分、作業は大変だったが、おのおのが意義を感じながら取り組んでくれたと思う」と話す。
「フィルムコモンズ」は、地域映画をきっかけに、世代を越えた市民が対話する場をつくり、地域コミュニティーを再生することを目指している。今後は上映会と共に、感想を語り合う座談会も開いていく予定。「映画の完成がゴールではない。公民館など地域で引き継いでいってくれることが理想。過去の記録を、地域のつながりや、魅力の再発見に生かしていければ」とも。
上映開始時間は、25日=13時30分、17時、26日=10時、14時、19時。入場無料、各回先着順。問い合わせは同団体(TEL 090-3535-6519)まで。