実演やワークショップなどでクラフトと触れ合うイベント「クラフトピクニック」が10月15日・16日、松本・あがたの森公園(松本市県3)で開かれた。主催はNPO法人松本クラフト推進協会。
今年で19回目、3年ぶりの開催。毎年5月に行われる「クラフトフェアまつもと」の姉妹イベントとして、「ものを使う人と作る人が出会い、ものづくりの過程を楽しむ」ことを目的にしている。2日間で約60組が出展。会場内には、電動ろくろでの陶芸や、ペーパーコードによるスツールの座編みなどのワークショップ、スプーン削りや糸紡ぎの実演など多彩なブースが並んだ。
「こぶたの森」(岡谷市)では、パーツを組み合わせて車を作るワークショップを用意。木工用ボンドやトンカチを使って完成させた車を手に、子どもたちが芝生で遊ぶ姿も見られた。「へんみ櫛(くし)店」(松本市梓川倭)は、くしの歯を通す加工の体験を開催。参加者は数種類のやすりを用いて丁寧に歯先をとがらせ、1時間以上かけてとかせる状態に仕上げていた。
今年の招待出展は「松本押絵(おしえ)」。下絵から分解図を起こして作った型紙に綿を乗せ、布で挟んで厚みを出し、立体感ある作品にしている。「ベラミ人形店」(中央3)の三村隆彦さん・修子さんが、月の中にウサギが跳ねている押絵を作るワークショップや実演を行った。「短時間で作るのはなかなか難しいが、少しでも身近に感じてもらえるように準備した」と修子さん。
押絵の技法は、羽子板に用いられていたものが江戸時代後期に松本に伝えられ、明治時代の中ごろにピークを迎えたといわれている。ブース内には作品のほか、パーツも一緒に展示し、技法についても説明。興味深そうに眺める人や、作り方について尋ねる人にも丁寧に対応した。隆彦さんは「普段は店の中にいるので、こうして外で見てもらえるのは楽しい。多くの人に『松本押絵』を知ってもらう機会になって良かった」と話す。