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松本・上高地線が10カ月ぶりに全線運行再開 地域の日常と笑顔戻る

渚駅で行われた記念式典では、新島々駅発の始発列車を迎えた

渚駅で行われた記念式典では、新島々駅発の始発列車を迎えた

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 昨年8月の大雨で被災して一部区間が不通になっていた松本市のアルピコ交通上高地線が6月10日、全線で運行を再開した。

復旧した田川橋梁

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 西松本駅と渚駅の間にある田川橋梁(きょうりょう)の橋脚が傾き、不通となった一部区間では、バスによる代替運行を行っていた。アルピコ交通によると、昨年11月から始まった復旧工事の費用は2億2,400万円で、うち1億2,400万円を松本市と県が補助。地域住民や有志、クラウドファンディングなどでも支援が寄せられた。

 全線運行再開に合わせて、橋梁には横断幕を、3月に導入された新車両「20100形」にはヘッドマークを掲出。記念グッズとして、乗車券と入場券を2枚ずつセットにした「上高地線全線運行再開記念きっぷ」(1,250円)やミニヘッドマーク(2,200円)のほか、「上高地線電車わくわく一日フリー乗車券」(大人=1,420円、子ども=710円)などを販売する。

 10日は、橋梁に近い渚駅で記念式典が行われた。臥雲義尚市長は「通勤通学、そして上高地や乗鞍高原の入り口として、復旧にとどまらず、未来に向けての新たなスタートになると確信している」とあいさつ。アルピコ交通の小林史成社長は、同線に携わる全ての人々に感謝の意を表し、「今日から通常の運行に戻るが、安全性、利便性のさらなる向上と、地域の足、生活を支える公共交通として前を向いて頑張りたい」と力を込めた。その後、新島々駅発の始発列車を迎え、くす玉を割った。

 「上高地線田川橋梁早期復旧応援プロジェクト」を展開してきた「しましま本店実行委員会」は、西松本駅で横断幕を掲げ、旗を振って乗客を迎え入れた。実行委員会代表の太田岳さんは「いつもの上高地線の姿が戻ってきて、おめでとう、お帰りなさいという気持ち。たくさんの人の支えがあって、この風景が再び見られるようになった」と笑顔を見せる。

 11日・12日には、古本を販売するイベント「本の駅・下新文庫」を下新駅で開催する。「一ファンとしての立場でしかないが、これからもより多くの人に、上高地線を知ってもらい、何度でも足を運んでもらえるように、活動を続けていきたい」とも。

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