松本・あがたの森公園(松本市県3)で5月26日・27日、「クラフトフェアまつもと2018」が開催された。
園内各所には、陶器、木工、漆、ガラス、染織、金属、皮革など多彩な分野の作品と、飲食のブース約290が並んだ。天候にも恵まれ、多くの来場者が作家と話したり、写真を撮ったりして楽しんだ。
真ちゅうのカトラリーやアクセサリーを制作する守田詠美さん(東京都)は初出展。さまざまなサイズのスプーンやフォークを中心に、「自分が身に着けたいと思うもの」というバングルやリングなどのアクセサリーも用意した。経年変化を見てもらおうと、普段使っているスプーンをサンプルとして並べたが、「どうしてもこの色がいいというお客さまがいて、説明したが結局そのまま購入していった」というエピソードも。
守田さんは2012年、富山大学芸術文化学部4年生のときに、「ものづくりと人をつなぐ仕事をしたい」と考え、同フェアのボランティアスタッフとして参加。卒業後は、ものづくりを離れて東京で就職したが、関わりはずっと続いていたという。昨年末、退職して制作活動を本格的に再開。「関わっていた分もあってか、駆け出しの私が出展してもいいのだろうかという不安があった。それでも今の自分ができる限りのことをやったので、見てくれる人の反応は良いものも悪いものも全て受け止めたいという覚悟ができた」と守田さん。2日間、さまざまな人との出会いややり取りを通して「期待に応えられるように、もっと良いものを作りたいという気持ちになった」と笑顔を見せる。
実行委員を務める木工作家・すがのたかねさんは、「ネットを利用する人も増え、フェアを訪れる人の意識も変化してきていると思う」と話す。2000年からフェアを手伝い、その後、作り手として参加するようになったすがのさん。「家具の上に何気なく置いていた家や舟のオブジェがきっかけとなって、今の作風につながっていった」と振り返る。「自分にとっては割とラボラトリー的で、人の声を聞いたり、反応を見たりする場。お客さんやものの売れ方は今後も変わっていくだろうが、作家にとっては、そういう部分もあっていいのでは」とも。
同フェアは今年で34回目。当日は、「六九クラフトストリート」(六九商店街)、「ミニクラフト展」(松本城大手門枡形跡広場)、「クラフトスクエア」(イオンモール松本)、「御使者宿(おししゃやど)市」「五月の宵祭」(信毎メディアガーデン)など、各所でイベントが行われ、町中もにぎわった。