信州の伝統食といわれる昆虫食に理解を深めるイベント「信州の昆虫食が世界を救う」が12月3日、塩尻市の市民交流センター・えんぱーく(塩尻市大門一番町)で行われた。
同市立図書館の通年事業「信州しおじり本の寺子屋」の一環。「信州人 虫を食べる」(信濃毎日新聞社)の著書で日本鱗翅(りんし)学会評議員の田下昌志さんと、松本むしの会代表幹事の丸山潔さんが講師を務め、約50人が参加した。
前半は「信州四大珍味」として、蜂の子、イナゴ、ザザムシ、蚕のさなぎを取り上げた。蜂に目印を付けて巣を見つけて彫り出す「蜂追い」や、先日解禁になった天竜川でのザザムシ漁について、写真を用いながら説明。参加者全員が「イナゴは食べたことがある」と挙手するほど「昆虫食のベテラン」で、「オンブバッタはさんしょうで味付けたようないい香りがする」「ササキリはとてもおいしいが、フキバッタはおいしくない」という田下さんの話に、会場は盛り上がった。
試食では、同市のフレンチレストラン「ラ メゾン グルマンディーズ」シェフ・友森隆司さんが四大珍味を使った創作料理を振る舞った。イナゴを使ったハンバーグ、ザザムシのオムレツ、ギョーザの皮で包んで揚げた蚕のさなぎ、デザートとして蜂蜜と蜂の子を合わせた「親子ムース」が盛り付けられた皿がテーブルに運ばれた。「ある程度、原形を感じさせるように作った。蚕のさなぎの臭いを抑えることに一番苦労した」と友森さん。原形をとどめた四大珍味も一緒に提供。参加者は「見た目は分からないが、食べると(虫の)存在を感じる」「普段とは違っておしゃれな料理で驚いた」など話したり、写真を撮ったりしながら味わった。
後半はゲンゴロウやセミ、カメムシなど四大珍味以外の昆虫のほか、食べてはいけない昆虫や、松本県ケ丘高校の高校生が提案した「昆虫食サプリメント」の取り組みを紹介。田下さんは「昆虫食は、地域として特徴ある文化であり財産。発信していけば魅力も高まっていく」と締めくくった。