松本・六九商店街にある「mm(ミリメートル)」(松本市大手2)で10月25日から、まつもと市民芸術館を拠点に活動する演劇集団「TCアルプ」の公演「土砂降りボードビル」が行われる。
同集団にとって結成10周年で初となるオリジナル長編作品。「雨」から生まれる物語、「雨」が降る中で展開していく物語などが紡がれていく。企画は串田和美さん、作・演出はTCアルプ(近藤隼さん、武居卓さん、細川貴司さん、下地尚子さん、深沢豊さん、草光純太さん)。出演は、同集団のほか、内堀律子さん(文学座)、加賀凪さん、齋藤結衣さん。
9月23日から同会場で本格的な稽古を開始。それぞれが持ち寄った物語を読み合わせたり、エチュード(即興劇)から面白いと感じたシーンを膨らませたり、エチュードで用いた詩に音を付けてパートごとに歌を合わせたりと、体を使いながら少しずつ芝居を作り上げている。
半年ほど前から、作品や上演場所の検討を始めた。「串田さんがいない公演は久しぶり。最初は役者だけでやっていたので懐かしい」と武居さん。夏に同館で行われた表現者のためのワークショップ合宿「シアターキャンプ2017」で3週間、共に過ごしたメンバーで挑む。先月、同集団に加入した深沢さんは「ずっと一緒にやっていて、流れの中で加入したので、あまり変わった感じはないかも」と笑顔を見せる。
同公演のモチーフとした「雨」は、昨夏に上演した野外劇「遥(はる)かなるブルレスケ~とんだ茶番劇~」の最終日に見舞われた豪雨がきっかけになっている。「後々、『雨すごかったね』と言われることが多かった。『雨』は人の心に何か残るものなんだと感じた」と細川さん。「ぽつぽつ、しとしと、土砂降りと降り方もいろいろで、どこか『語り方』にも思える」と話す。
会場は、イベント使用時以外はシャッターが下りているスペース。広さや借りられる期間などから決めたという。「ある程度長い期間上演することで、口コミで知った人も見に来られるようにしたかった。場所も、仕事終わりにふらりと立ち寄れるようなところが良かった」と細川さん。「芸術館ではなく商店街の中で、しかも普段使われていない場所。松本という街ともこれまでにはない関わり方になるような気がする」と近藤さん。照明や装置に制約はあるが、劇場にはない良さを生かせる舞台になるように試行錯誤している。下地さんは「芝居を作るところから、本番の会場を使ってできるのはぜいたく。練習の見学も気軽に来てもらえれば。チケットも販売しているので、買ってもらえると皆で喜ぶ」とほほ笑む。
上演時間は25日~27日・30日、11月1日・3日=19時~、10月29日、11月2日・5日=14時~、10月28日、11月4日=14時~、19時~。10月31日は休演。チケット料金は、前売り=3,000円、当日=3,500円、学生=1,000円、プレビュー公演(25日・26日)=2,500円。未就学児入場不可。チケットは同館チケットセンター(TEL 0263-33-2200)や市内飲食店などで販売する。11月5日まで。