大町市で開催中の国際アートフェスティバル「北アルプス国際芸術祭2017~信濃大町 食とアートの廻廊~」のディレクター・北川フラムさんが7月3日、信州大学附属図書館中央図書館(松本市旭3)セミナー室で同祭の魅力を語る講演を行った。
6月4日に開幕した同祭。「水、木、土、空。」をメインテーマに、同市内5つのエリアで国内外36組の作家が出展する。
会場となった同市を初めて訪れたとき印象を「用水が流れていて、町中で水の音がする。圧倒的な水量」と振り返った北川さん。「水や土地の気配、空気の透明度や重さを感じられる芸術祭にしたいと思った」と話す。
5つのエリアの特色を説明した後、作家の思いや制作中の様子、地域の人々との関わりなどを交えながら、展示作品を解説。平田五郎さんの「水面の風景-水の中の光~山間のモノリス」は、この地域でホタルを再び呼び戻そうと活動してきた人たちの思いを受け継ぎ、水をろ過する仕掛けを持つ。同市在住の青島左門さんの「花咲く星に」は、生花をLEDで照らし、幻想的な風景が出現。「LEDだけでは『並』だが、見上げると星空がある。宇宙の中に花と星がつながっている空間。(天候に左右されるので)うまくいくわけがないと言い続けていたが、見事にやってくれた」。同じく同市在住の折り紙作家・布施知子さんについては、「すごい作家がこんなところにいたと驚いた」とも。
その土地で育まれてきた食文化の大切さ、面白さにも触れ、地域全体で取り組む「食」のもてなしについても紹介。「美術というのは、家族や友達と一緒に行くと本当に楽しい」と来場を呼び掛け、1時間半の講演を締めくくった。
同大人文学部芸術コミュニケーション分野が企画。学生を中心に一般の人も含めた約70人が参加した。「ちょうど会期の折り返し点。ディレクター目線でどのように芸術祭が行われているのかを知る機会を設けたかった」と金井直教授。「前日にゼミ生で見に行き、いろいろ知りたい気持ちが高まっていた状態で貴重な話を聞くことができた」と話す。
同祭は7月30日まで。チケットは、一般=2,500円、高校生=1,500円、小・中学生=500円。