松本市が発祥の地の「花いっぱい運動」の全国大会「第57回全日本花いっぱい松本大会」が6月17日、まつもと市民芸術館(松本市深志3)で行われた。
花いっぱい運動は1952(昭和27)年に、「戦後の世の中を明るく、住みよく、花を通じて人々の気持ちを豊かにしたい」と小学校教員・故小松一三夢(いさむ)さんの呼び掛けで始まった。1955(昭和30)年に同市で全国結成大会を開催。運動は、全国各地へ広がっている。
式典には約1400人が参加。「松本で小さな運動として開花した取り組みが、60年以上経過して大輪の花のように、全国で咲き誇るようになった」と実行委員長の菅谷昭松本市長。本大会の3つの基本理念「花いっぱい運動の再認識」「生きがいづくり」「次世代の育成」について、「特に『次世代の育成』を柱に掲げ、若い人たちが積極的に参加する大会にした」とあいさつした。
運動を実践している全国各地の個人・団体の表彰のほか、同市のエクセラン高校と空港東町会が事例を発表。松本ユース平和ネットワークの西本沙織さんとまつもと子ども未来委員会の楠裕人さんによる大会宣言の後、大会旗が菅谷市長から次期開催市、広島県尾道市の平谷祐宏市長へと手渡された。
会場内は花々で彩られ、写真撮影をする人の姿も。「押し花はがきコンクール」の入賞作品の展示や、エクセラン高校が育てた花の苗の配布など、ブース出展もにぎわった。式典後には、あがたの森公園で記念植樹を行い、小松さんが教員時代に勤めていた旭町小学校の児童10人が花を植えた。
同市での開催は10年ぶり。大会前から訪れる人を歓迎しようと、花壇の整備や市内に飾るスタンディングバスケットの講習会などを行った。「市民の参加もあり、発祥の地らしい大会となった。地域の『花いっぱい運動』の今後の取り組みの契機になったのではないか」と市建設部公園緑地課課長・牧垣孝一さん。「花を植えるという行動だけではなく、花を愛する心を育てることが大切。地道な運動だが、それが平和につながっていく」と話す。