松本・あがたの森公園(松本市県3)で5月27日・28日、「クラフトフェアまつもと2017」が開催された。
園内各所には、陶器、木工、漆、ガラス、染織、金属、皮革、飲食も含め約280のブースが並んだ。作品だけではなく、作業工程や作家自身のプロフィルを紹介したり、ディスプレーなどに工夫を凝らしたりするブースも。写真を撮る人や、作家との会話を楽しむ人の姿も多く見られた。
造形作家・三瓶祐治さん(奈良県)は初めての出展。テラコッタや真ちゅう、木彫などの作品は、クマやサルなどの動物やさまざまな仏像のオブジェやブローチ。通路から少し離れた場所にブースを構え、「万人受けするような作品ではないが、興味を持ってくれた人とゆっくり話ができて良かった」と振り返る。「県外や海外から来たという人もかなりいて、来場者の幅広さを感じた」とも。
同じく初出展の陶芸家・木村悠希さん(岐阜県)は、「全国各地から足を運んでくれる皆さんの期待のようなものを感じた2日間だった」と話す。陶芸用の土で作ったオブジェは、人形や動物、家の形など。「たまたま隣のブースが学生時代の先輩で(笑)。おかげで、他のブースも見にいくことができて楽しめた」と笑顔を見せる。
今年で33回目となる同フェア。渋滞解消や町中への回遊性向上など、「よりよいフェア」のために毎年、スタッフが話し合い、試行錯誤しながら取り組んでいる。「雰囲気がゆったりして、ほどよく力の抜けた、気持ちのいいフェアだった」と広報担当の稲田正明さんと三沢美夏さん。今年は、実行委員長を置かずに3つのグループに分け、連携しながら運営を行った。「立ち上げメンバーと話をする機会もあり、『曲げちゃいけない本質』について考えた」(稲田さん)。「これまでのものを守っていきたいし、新しいことにも挑戦したい。両方の思いを持ちながら活動してきた」(三沢さん)。
当日は、「六九クラフトストリート」(六九商店街)、「ミニクラフト展」(松本城大手門枡形跡広場)、「城下町工芸展 工芸マルシェ」(本町商店街)などのほか、同フェアに合わせてさまざまなイベントが開催され、多くの人々でにぎわった。池上邸の蔵で行われた木工作家・大曽根俊輔さんによる乾漆の動物たちを展示する「kuranimal」では、水路に現れたカバが人気を集め、子どもから大人まで、多くの人たちが足を止めて見入っていた。