松本・天神地区で、空き家を見学し、歴史や魅力を探りながら街を歩く「空き家見学会」が3月20日に行われた。
市が主催し、地元の建築家や商店主らが企画。当日は、移住や店舗開業を検討している人や、街づくりに興味がある人など約20人が参加した。企画したメンバーの一人、民家研究者で建築家の豊川尚さんは「松本にもっと多くの人を呼びたいし、住んでほしい。松本が好きな仲間同士、今日は一緒に歩ければ」とあいさつ。書店「栞日(しおりび)」(松本市深志3)を出発し、江戸時代や戦後間もない頃の古い地図を手に、写真を撮ったり会話を楽しんだりしながら歩いた。
4軒の空き家では豊川さんらが、「以前どのように使われていたのか」「築何年程度か」「増築の有無」などを簡単に紹介。参加者は内部を見学しながら、気になる点などを尋ねた。途中の寺や神社では、歴史についても説明。1時間半ほどで街歩きを終えて同店に戻り、希望者に対して個別に相談会を行った。
企画した4人のメンバーは、自身もI・Uターンをして松本で暮らす。「松本に興味がある人を増やしたい」「移住の後押しをしたい」という思いで、これまでもそれぞれイベントなどを手掛けてきた。「自分たちの街を面白くしたいという思いの中で、空き家をキーワードに何かできるのではないかと考えた」と豊川さん。初開催の同イベントは、募集後数日で定員に達する人気を見せた。「関心の高さに驚いた。参加者のニーズに全て応えられたかは分からないが、より情報を充実させていきたいし、もっと街をじっくり味わえるようにしていきたい」
空き家の活用を後押しする国の施策を受け、県や市でも取り組みに力を入れる。同様のイベントは県内各地でも継続的に実施を予定。地域のキーパーソンとなって活動を進める人材育成にも尽力する。「松本に興味ある人と地元で活動している人をつなぐきっかけにしていきたい」と市建設部都市政策課。「参加者からの声を生かし、次回以降より充実したイベントにしていければ」とも。