松本・中央の「Parades Gallery(パレーズギャラリー)」(松本市中央3)で現在、美術家・映像ディレクター山城大督さんの個展「The Projected Image Laboratory」が開催されている。
「HUMAN EMOTIONS(ヒューマン・エモーションズ)Reconstuction matsumoto ver.」は、今年2月に京都で開催した個展の作品を同展のために再構築したもの。1歳、5歳、7歳の3人の子どもたちの様子を複数のカメラで撮影した映像を用いて、映像と子どもたちの痕跡を「再生可能な空間」として展示した前作から、同展では映像に登場する道具数点と、複数のモニターに映し出されていた映像を編集して1本にしたものを展示する。「単なる映像ではなく体感できるもの。平面ではなく立体として感じられる瞬間があると思う」と同展を企画する茂原奈保子さん。
「映像とオブジェクトのスタディ」は、「映像のオブジェクト化するための実験」という作品。テーブルの上に置かれたモニターに映し出される映像とその上に乗せたさまざまなオブジェクトを見つめているうちに、体感的な感覚が生まれる。「画面の向こう側と、画面のこちら側の関係性を考えるための実験」と茂原さん。会期中は継続的に制作も進められるという。
茂原さんは信州大学人文学部で芸術コミュニケーションを専攻。卒業後は松本で就職し、仕事をしながら、工芸やアートイベントに携わってきた。「仕事として、アートに関わりたい」と、2年前に上京して美術館やギャラリーに勤務。「東京は情報が充実しているが、いずれは地方でやりたいという思いがあった」と振り返る。「松本は、新潟や愛知、横浜といった大きなアートイベントがある場所のちょうど間にあり、さまざまなつながりもある。将来的にはハブ的な役割も担えたら」と、松本に拠点を置き、「間(あわい)」という名で活動することを決めた。
「展示できる場所を持つかどうかはまだ分からないが、いつでもアートに触れられるような企画をしていきたい」と茂原さん。同展がその第一歩となる。「映像は記録だが、体感とも結び付く。その境界線を実際に感じて、楽しんでもらえれば」
開催時間は11時~19時。入場無料。5月31日まで。30日にはワークショップ、31日にはクロージングイベントを予定する。