暗闇の中で食事をすることで視覚障がい者への理解を深める企画「ダークネスレストラン」が6月21日、「ホテルモンターニュ松本」(松本市巾上3)で行われた。
「見えないを伝えたい」と、県松本視覚障害者福祉協会の有志8人が企画。初の取り組みで、活動資金を得るための募金活動などを行って準備を進めてきた。「目が見えない中で食事をする大変さを知ってもらう機会を作りたかった」と同会理事の田中秀長さん。
当日は約40人が参加。瓶入りの飲み物と、ナイフやフォーク、ナプキンなどが置かれた円卓を囲んだ。食事の前には、「肩幅くらいが『領地』。手は空中を移動させるのではなく、テーブルを滑らせるようにすると、コップを倒すようなことは減る」などのアドバイスが。時計の文字盤になぞらえて、「6時の位置に箸とデザートフォーク、その上におしぼり」「4時と6時の間にスプーンとフォーク」などと、テーブル上にあるものの説明も行われた。
「視覚が使えない状況で、他の感覚をフルに使って楽しんで」との呼び掛けも。各卓に1人ずつ座った「視覚障害のベテラン」が食べ方のコツについて話したり、味について皆で会話したりしながら、1皿ずつ運ばれてくる料理を暗闇の中で味わった。料理が運ばれるときにはいったん照明が付く。皿に残った様子を見て「きれいに食べたつもりだったのに」と、明るくなるたびにざわめきが起こった。
前菜、スープ、メーンと続いた料理は、ご飯、デザートのフルーツとコーヒーで終了。食事の後は、各卓で感想を話し合って発表した。「説明があると食べやすい」「コップに注ぐときに量が分からず、指を入れて確認してしまった」「皿に残ったものをまとめるのが難しい」などの感想が上がった。
「皆さんのおかげでこのようなイベントができて感無量」と田中さん。「このイベントをきっかけに、さらに多くの人が知ってもらうことができれば」と話す。
今後もこのような企画を行っていく予定。詳細・問い合わせは田中さん(TEL 090-1868-1873)まで。