安曇野の「ギャラリー留歩(るぽ)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-6785)で現在、画家・呉亜沙(ご あさ)さんによる個展「呉亜沙展 -まばたきの間-」が開かれている。
同展では2000年から今年までに制作した37点を展示する。作品は油彩やドローイングのほか、立体や版画など多種。「空間を作ることが楽しいので、平面だけでなく立体作品も自分の中で大きな存在。立体があることで生まれる臨場感が好き」と呉さん。
「まばたきの間」は、少女とウサギをモチーフにした立体作品。両者の目からは色とりどりの丸い粒が連なっている。粒の一つ一つに「昔」「君」と漢字が刺しゅうされており、追っていくと、中国の思想家・荘子による説話「胡蝶の夢」になる。「どんな『今』もやがては変化して『夢』となるが、変化の一環を受け入れて楽しむ」という覚悟を主張したもの。「生まれた時には『自分』というものは分からない。成長(変化)し、『自分』を獲得する前のふわふわした状態を表現した」
2児の母でもある呉さん。新作は子どもたちを描いたものが多い。ドローイングは、2人の子どもが布をかぶって遊んでいる姿などを優しいタッチで描いている。対になっている作品は、「自分」と「他者」を表現したものだという。「ずっと続けているテーマ。今まで『他者』は『人』を意識していたが、今後は『社会』などもっと広い意味のものに対する表現ができれば」
「創作意欲が湧くといくらでも描いてしまう人。今回も搬入日を延ばしてほしいと頼まれ、ちょっと冷や冷やしたが、届いたものを見て納得した」と同ギャラリーの米澤典子さん。「本人の心境の変化を作品の中に強く感じる。親しみやすい画風だが、内面に深いものを持っているように見えて魅力的。見るたびに違う世界を見せてくれるので面白い」とほほ笑む。呉さんは「出産を機に変わったものもあると思う。これからも変わり続けていくが、その時の表現を楽しめたら。立体作品も作り続けていきたい」と意欲を見せる。
作品は販売も行う。価格は3万円台~。開催時間は11時~17時。入場無料。12月2日まで。