現在整備が進められている松本駅のお城口(東口)をどのようにデザインすべきかを話し合う「松本駅前お城口(東口)に関するシンポジウム」が9月18日、松本市中央公民館・Mウイング(松本市中央1)で開催された。
長野県建築士会松筑支部が主催する同勉強会は、8月に続き2回目。「松本駅前…何をデザインするか」と題して、松本市の素案をたたき台として、市民を交えたパネルディスカッション形式のシンポジウムを企画した。パネラーには市の景観審議会会長で建築家の柳澤孝彦さん、まつもと市民芸術館館長の串田和美さん、法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科教授・高見公雄さん、新まつもと物語の山本桂子さんを迎え、100人近くの市民が参加して、活発に意見を交わした。
前半はパネラーからの意見を聞くかたちで進行。「現状では、駅を出てまず目に入るのは『看板』。外から来た人が『看板』のイメージを持ってしまう。もっと地形や自然を感じることができれば。高い木を植えて、森を作るとか…まあ、現実的ではないが」と柳澤さんが話すと、「森になったらいいなあ」と串田さん。縄手商店街で店を構える山本さんは「観光客に聞いても、松本に泊まるという人は少ない。(松本は)通り過ぎる場所になってしまっている」と実感を交えて話した。
後半は、「議論してたどりついた先が松本らしさ」(串田さん)という言葉もあり、参加者からの発言が積極的に行われた。「どこの駅前も同じ雰囲気がする。視点を変える必要がある。『森を作る』というのは現実的ではないとはいえ、とてもいいと思った」「(どこの駅前も同じだと、否定的に言われるが)同じになるのには何か原因があるはず」「旅をするときは駅が基点となる。『人と車を交差させない』ことはいいのだろうか」「学生や通勤する人が気持ちよく過ごせるように、人の行動や時間をデザインしてほしい」など、さまざまな意見が出された。
これまでも多くの駅前のデザインに携わってきた高見さんは「融通の利くもので、いろいろな使われ方ができるものがいい。のびのびしよう」とヨーロッパの駅前を例に挙げて提案。串田さんは「皆でこういった話をできることが素晴らしい」と感想を述べ、最後は山本さんが「自己満足で終わらないように、自分たちが決めて、どう生かしていくかをしっかり考えたい」と締めた。
コーディネーターを務めた同支部の社会貢献委員長・山田健一郎さんは「前回はプロセス論になってしまったが、今回は具体的なものになって良かった」と議論を振り返り、「これまでの市との流れもあるので、柔軟な使い方を前提にしてまとめて、景観審議会に改善案として出せれば」と話した。今後も12月の計画承認・工事着手までに勉強会を継続して行い、10月中旬には第3回を予定している。