コーヒーやアルコールを提供する「EL CENTRO(エル・セントロ)」(松本市大手4)が松本・緑町にオープンして2カ月が過ぎた。
店舗面積は約15坪。席数はカウンター、テーブル、立ち席を合わせて15席。元は「ディアナ」というスナックで、その後も飲食店に利用されていたという築60年ほどの建物を改装。入り口の上にある緑色のハットや曲線が特徴的な窓などはそのままに、床のじゅうたんは剥がし、カウンターの側面は張り直した。店主の波平優さんは「照明やカウンター奥の棚なども含め、古き良き物はなるべく残した」と話す。
店名はスペイン語で、中心や中央という意味。「ノイズを消して、自分の中心と向き合う場所」をコンセプトに、波平さんは店を「給水所」と呼ぶ。「カフェやバーなど業態で限定すると、ハードルが高くなるような気がする。公園のベンチのように、気軽に立ち寄れる店をイメージした」とも。
メニューはコーヒー(650円)、カフェラテ(670円)などのほか、数量限定で「ショコラテリーヌ」(600円)や「マスカルポーネプリン」(680円)などスイーツを提供。アルコールは生ビールやウイスキー、焼酎、サワー、ジンのほか、泡盛も用意する。
波平さんは19歳の時に生まれ育った沖縄を離れ、カナダやチリ、ブラジル、東京など国内外を行き来した。「いずれは沖縄で店を開きたいと思っていたので、いろいろな場所で経験を積みたかった」と振り返る。2019年秋、友人と上高地を訪れたことがきっかけで東京から移住。ゲストハウス「tabi-shiro(タビシロ)」やコーヒー店「High-Five(ハイファイブ)」で働いた。コロナ禍でいったん帰郷し、3年ほど飲食業や宿泊業に従事したが、「なぜか沖縄で店を始めるイメージが湧かなかった」という。目標を見失って悩む中、昨年5月に久しぶりに松本を訪れた際に、「The Source(ソース) Diner」の店主・安達真さんから物件を紹介された。内見して「ここだ」というイメージが湧き、すぐに契約。半年かけて開業準備を進めてきた。
「これまで出会ってきたさまざまな人をつなぐような場でもありたい」と波平さん。山梨県の農家を招いたワインの飲み比べ会などイベントも開催。今後は2階を改装して宿泊業も始めたいという。「日常に寄り添えるような、居心地のいい店にしていきたい」と意気込む。
営業時間はインスタグラムで確認できる。月曜・火曜定休。