7月11日から始まる「信州・まつもと大歌舞伎」の出演者らが中心市街地を練り歩く「登城行列」が同10日、行われた。

「松本城市民ふれあい座」の様子

　開催は2年ぶり5回目。今回の演目は「深川三角屋敷の場」で直助とお袖の悲劇を浮かび上がらせた「北番」をベースにした新たな構成で、さらなる進化を遂げた「四谷怪談」。同行列には、出演する中村扇雀さん、中村獅童さん、中村勘九郎さん、中村七之助さん、演出を手掛けるまつもと市民芸術館芸術監督・串田和美さんら8人が人力車に乗って登場。みこしや舞台が先導し、松本郵便局前から松本城までを練り歩いた。

　沿道からは、「中村屋！」「成駒屋！」などの屋号や「お帰りなさい」「待ってました」などの声が飛び交い、写真を撮影したり握手を求めたりする人も。市民ら約4万8000人が熱い声援を送った。

　行列の後に付いて市民たちも移動し、本丸庭園内に設けられた特設ステージで「松本城市民ふれあい座」が続けて行われた。「お芝居はお客さん、手伝ってくれる大勢の方の手で出来上がる。ありがとうございます」と串田監督。市内の「神田木遣（きやり）長持保存会」が木遣り歌でもてなした。

　その後、出演者が一言ずつあいさつ。「亡くなった勘三郎お兄さんの魂も胸に秘めて、皆で力を合わせて素晴らしい舞台をつくりたい」（中村扇雀さん）、「4年ぶりに松本に帰ってくることができた。温かく迎えていただきうれしく思う」（中村獅童さん）。中村勘九郎さんは、「皆さん暑いですかー」と呼び掛け、「よいしょ！よいしょ！」と会場と掛け合いを見せた。連続出演記録を更新中だという中村七之助さんは、「こんなに『おかえりなさい』と言われるのは松本だけ。一生懸命務めたい」と意気込んだ。

　公演は今月17日まで、まつもと市民芸術館（松本市深志3）で行われる。