松本・あがたの森公園(松本市県3)で5月28日・29日、「クラフトフェアまつもと2016」が開催された。主催はNPO法人松本クラフト推進協会。
園内各所には、陶器、木工、漆、ガラス、染織、金属、皮革、飲食も含め282のブースが並んだ。作品だけではなく、作業工程や作家自身のプロフィル、ディスプレーなどに工夫を凝らすブースも。両日とも天候にも恵まれ、多くの来場者が詰め掛けた。
「glass accessory tubu」(大阪府)は初めての出展。ガラスをメインに、真ちゅうやシルバー、銅などの金属を合わせて作るアクセサリーは繊細で、「『どうやって作っているの?』と興味を持って聞いてくれる人も多い」とガラス作家の山口美妃さん。ガラスは、バーナーの炎で溶かして成形する、バーナーワークという技法を用いている。
同じく初出展の陶芸家・西隆行さん(佐賀県)は、「ずっと松本に来てみたいと思っていて、ようやく出展できた。人は多いが、ちゃんと見てくれる人の割合も多いと思う」と笑顔を見せる。粉引きやはけ目の器のほか、うわぐすりを垂らしたままにして流れるしずくのようにした「雫(shizuku)シリーズ」も。作品に足を止めて見入る人の姿も多く見られた。
「出展者と来場者が気軽に話せることがフェアの醍醐味(だいごみ)。2日間、過ごしやすい気候で、出展者も来場者も楽しめたと思う」と実行委員長の市川真理さん。「出展者同士のコミュニケーションも図れ、意欲の向上やコラボしようという横の連携も生まれているようでうれしい」と話す。運営する側として、毎年少しずつ改善を加え、今年は課題だった出展者の朝の場所取りや、ウェブを使った出展者マップなどの情報発信にも取り組んだ。「できることとできないことを皆で考え、助け合いながらやってきた。ボランティアスタッフなので、メンバーの入れ替わりは避けられないが、その分、新しい発想もあり、毎年少しずつでも良い方に向かっていると思う」と振り返る。
今年で32回目となる同フェア。近年は、同フェアに合わせて行われるイベントも増え、六九商店街では「六九クラフトストリート」、本町通り周辺では「Crafted Kiosk」「五月の宵祭」などのほか、ポップアップストアを展開するギャラリーやカフェなども。中心市街地の回遊性も生まれ、多くの人々でにぎわった。