実演やワークショップなどでクラフトと触れ合うイベント「クラフトピクニック」が10月18日・19日、松本・あがたの森公園(松本市県3)で開催された。主催はNPO法人松本クラフト推進協会。
「ものを使う人と作る人が出会い、ものづくりの過程を楽しむ」ことを目的とし、今年で13回目。木工、ガラス、染色、陶磁器などのクラフト部門と食品部門を合わせた約110組がワークショップや実演をメーンに出展。晴天の中、各テントでワークショップを楽しむ人たちの様子や、芝生の広場では木工のおもちゃで遊ぶ子どもたちの姿も見られた。
今年の招待出展は木曽薮原のお六櫛(ろくぐし)。木祖村お六櫛組合の逸見英隆さんが、説明をしながら実演を行った。お六櫛は元禄・享保年間に薮原で作り始められた木製の梳(す)きぐしで、材料にミネバリというカバノキ科の堅い木材を使用。10センチにも満たない幅におよそ100本もの歯を、2枚刃の特殊なノコギリで挽(ひ)き上げる。伝統や制作過程などの話を聞きながら、見学者は逸見さんの繊細な手仕事に見入っていた。「お六櫛を知ってもらえる良い機会になった」と逸見さん。「伝統を大切に引き継ぎながらも、現代のお六櫛を作っていけたら」と話す。
市内でハチミツを販売するネットショップ「SUBAKO(すばこ)」は、「みつろうろうそく・みつろう入りクリーム」のワークショップを行った。クリームは、天然の蜜ろうをゆっくり溶かし、オーガニックの植物オイルを加えて作る。「主に女性のお客さんがワークショップを楽しんでいった。実際に作ってもらうことで素材や作る過程の安全性を知ってもらえたのでは」と店主の小島和郎さん。
「今年は両日、天候に恵まれ来場者数が多く、忙しくありながらも気持ち良く楽しめた」と実行委員長の萱野由記さん。「金づちの響きや、子どもたちのはしゃぐ声が印象的で、集まった皆さんがいい雰囲気を作り上げてくれたと思う。イベントを通じて来場者と作家がつながれたら」とも。