食器はシンプルに、花器は造形的に-松本で陶芸作家作品展

作品には市岡さんの優しい雰囲気が出ているものばかり。木漏れ日の入るギャラリーで。

作品には市岡さんの優しい雰囲気が出ているものばかり。木漏れ日の入るギャラリーで。

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 陶芸作家、市岡泰(やすし)さんによる「市岡泰 作品展」が5月17日から、「ギャルリ灰月」(松本市中央2、TEL 0263-38-0022)で開催されている。

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 市岡さんは宮城県出身の陶芸作家。宮城教育大学の教育学部在学中に、授業の一環で焼き物に触れたのがきっかけで陶芸の道に入った。現在は宮城県内に工房を構え、自身の窯で作品を焼き上げている。

 同店での作品展開催は2回目で、市岡さんの知人から同店オーナーの滝澤充恵さんへ紹介があったのがきっかけ。市岡さんは先日行われたクラフトフェアへの出展経験もあり、「松本には思い入れが深い」という。

 同展では食器をはじめ、花器、オブジェなど約130点の作品が並び、主に白と黒(濃い茶色)のものが目立つ。基本で使っている土はすべて同じで、そこに白と黒の化粧土(素地と違う色の土を泥状にしたもの)を表面に塗り分けている。黒のものは、真っ黒だと重くなってしまうので線を描いたという。中にはパステルがかった黄や水色などの着色を施しているものも。まるで土そのものを触っているようにざらっとした感触と、わずかな重量感、丸みを帯びたフォルムが安らぎを与える。

 「食器は丈夫さと使いやすさを求めてシンプルに、花器は造形的に」作っているという市岡さん。花器は置きタイプと掛けタイプがあり、掛けタイプでは一見無機質なオブジェのように見えるが、植物を生けることで花器の表情が柔らかくなる。ポットは「花器と食器の中間にあるものなので割りと遊べるアイテム」(市岡さん)で、木で作った取っ手を組み合わせるなどさまざまな姿のポットを楽しむことができる。作品に施される銘は、丸で囲まれた市岡さんの「い」のマークが入り、シンプルな作品のアクセントになっている。

 滝澤さんから「小ぶりのものを」と依頼され、大きいものから小さいものまでサイズバリエーションに富んだ作品展となった。

 市岡さんは「『丈夫で使いやすい』物を作ることだけ考えていると、自分の作りたい形ができない。用途性と造形性の折り合いの付け方にはいつも悩む。リクエストがあれば、それに応えられるような作品を作っていきたい」と、制作への向上心をみせる。

 価格は、ポット=9,975円~、花器=10,500円~。営業時間は、日曜・月曜・火曜=11時~18時30分、木曜・金曜・土曜=10時30分~19時。水曜定休。入場無料。6月1日まで。

ギャルリ灰月

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