実演やワークショップなどでクラフトと触れ合うイベント「クラフトピクニック」が10月19日・20日、松本・あがたの森公園(松本市県3)で開催された。主催はNPO法人松本クラフト推進協会。
「ものを使う人と作る人が出会い、ものづくりの過程を楽しむ」ことが目的の同イベント。5月に行われる「クラフトフェア」とは異なり、出展者は県内が中心。12回目となる今年は、木工、染織、金属、ガラス、革製品、粘土や菓子、コーヒー、ジャムなどの食品も含めた約100組が出展し、実演やワークショップを行った。
今年の招待出展は木曽奈良井宿の曲物(まげもの)。出展した花野屋の六代目・土川英士さんが、説明をしながら実演を行った。定番ともいえる弁当箱は、側板は木曽ヒノキ、底板は木曽サワラと2種類の木を使う。軽くて扱いやすく、痛んだら修理して使い続けることもできるという。使いやすさと丈夫さを考えて施した細かい工夫を聞きながら、見学者は土川さんの手元に見入っていた。「ものづくりに興味のある人が多いと思ったので、作り方や構造、こだわりが少しでも伝わるように説明した」と土川さん。「いつもは曲物を買い求めに来る人に対して話すことが多い。そうではない人にも知ってもらえる良い機会になった」と話す。
長野市でグラフィックデザイン「相澤デザイン室」を営む相澤徳行さんは、木のブーケとボンボン作りのワークショップを行った。材料となるのは、カンナがけの際に出る削りくず。ヒノキ、スギ、マツなどさまざまな木材のものから選び、いったん水に付けてから重ねていくと、色の違いが豊かな表情を生み出す。最後は形を整えて、30分ほどでブーケやボンボンが完成した。普段はグラフィックデザイナーとして働く相澤さん。「自分はクラフト作家ではないが、こうして気軽に参加できるので楽しい。街の中で、このようなイベントができる松本はいいなと思った」
2日間とも肌寒く、20日は終日雨模様となったが、会場には多くの人が訪れた。「昨年、『もう少しこうしたらいいのになあ』と思っていた部分が今年は改善されているなど、毎年少しずつ良くなっていると思う」と実行委員長の萱野由記さん。「雨の中、テントでワークショップを楽しむ人も多かった。12年目になるが、ピクニックの意図が浸透しつつあると思う」とも。