地域で生まれた教材とお米が、ルワンダとカンボジアで実際の支援に活用
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、2026年3月12日に長野県木島平中学校、3月16日に木島平小学校で、世界とつながる学び「3R-Forum講演会(Return, Reflect & Redesignを体感するフィードバック講演会)」を実施しました。
本講演会では、木島平の生徒・児童が地域学習や探究活動の中で生み出した教材やお米が、ルワンダおよびカンボジアの支援現場でどのように活用されたのかを報告しました。木島平発の学びは、単に「海外へ送られた」のではなく、教育機会や生活基盤、安全の確保が十分ではない地域で、実際に支援を必要としている人々のもとへ届けられ、学び・交流・生活支援の一部として活用されました。

オンラインで行われたフィードバック講演会「3R-Forum(Return, Reflect & Redesign)」
世界とつながる学び「CoRe Loop」と3R-Forum講演会
なかよし学園の「世界とつながる学び(CoRe Loop)」は、学校での探究学習・平和学習・地域学習を、紛争や貧困の影響を受ける海外の現場と接続し、「つくる → 届ける → 返ってくる → 学び直す」という循環で深めていく教育実践です。子どもたちが自ら考え、手を動かして生み出した成果物が現地で活用され、その反応や現場の声が教室へ戻ることで、学びを一過性で終わらせず、次の行動へつなげていきます。
今回の3R-Forum講演会は、その循環の中でも「Return(往還)」「Reflect(振り返り)」「Redesign(再設計)」を体感する機会として実施されました。子どもたちは、自分たちの行動が世界のどこで、誰に、どのように役立ったのかを知り、平和を“遠い国の話”ではなく“自分の行動で関われる現実”として受け止め直しました。

ケニアでの活動の様子を語る中村里英事務局長
ルワンダ――木島平中学校の木材教材が、スラム街の学校で学びを支える
木島平中学校では、林業が盛んな長野県の地域学習を活かし、木材の積み木教材を制作しました。この教材は、2025年8月にルワンダのキバガバガ小学校で行われた授業に活用され、図形の仕組みや耐震構造を学ぶ実践的な教材として使われました。キバガバガ小学校はスラム街に位置し、なかよし学園が2017年から継続して教育支援を行ってきた学校です。
ルワンダでは、教育の機会そのものは広がりつつある一方で、都市の貧困地域では教材や学習環境の不足が依然として大きな課題です。その中で、木島平中学校の生徒たちが地域の学びから生み出した教材が、現地の子どもたちの「わかる」「できる」を支える授業に実装されたことは、日本の教室の学びが遠い国の教育課題に具体的に応えた事例といえます。なお、キバガバガ小学校は2025年、ルワンダ教育省から先進的な教育実践として表彰を受けています。
これは、なかよし学園が長年積み重ねてきた「質の高い教育支援」が、現地で着実に実を結んでいる一つの成果でもあり、大変光栄なことと受け止めています。

ルワンダで活用された木島平中学校の積み木

耐震構造の授業を聞いて積み木を倒れないように積む生徒
耐震構造の授業を聞いて積み木を倒れないように積む生徒
ルワンダ教育省から表彰を受けたキバガバガ校長
カンボジア――避難民支援と地雷被害の現場で、木島平の教材が実際に活用
木島平中学校の生徒が制作した杖置きと折り紙万華鏡は、2025年12月27日から2026年1月4日にかけて実施されたカンボジアでの緊急支援で活用されました。支援先は、シェムリアップ州Chi Kraengの避難民収容寺院や各地の難民キャンプ、さらに戦地となったアンロンベン地域で、教育支援と食料支援が行われました。
カンボジアでは、戦争や地雷の影響を受けてきた地域が今なお残っており、避難生活を送る人々や地雷被害当事者への支援が必要な状況があります。その中で、木島平中学校の杖置きは、地雷被害当事者であるBel氏に直接手渡され、日常生活の中で活用されたほか、アンロンベンでは調理用具置きとして、さらに地雷除去の現場では作業用具置きとしても使用されました。つまり、生徒たちの制作物は記念品ではなく、現地で生活や作業を支える“実用品”として機能したのです。
また、折り紙教材は、避難民キャンプでの異文化交流授業や日本文化の学びの場で活用されました。避難生活の中では、子どもたちが安心して表現したり、誰かと一緒に何かを作ったりする機会が限られます。そうした中で、折り紙や万華鏡は、子どもたちに手を動かす楽しさや他者と関わる喜びをもたらし、心の緊張を和らげる時間を生み出しました。

日本からの杖置きに喜ぶBel氏

地雷探索用スティック置きとして活用された杖置き
アンロンベンでは調理器具置きに

難民となった子ども達に日本の文化を教え、笑顔にした折り紙万華鏡
木島平小学校――5年生が育てたお米が、難民キャンプの炊き出しに
木島平小学校では、5年生が栽培したお米を提供しました。このお米は、他校から寄せられたお米とともにカンボジア難民キャンプの炊き出しで活用され、現地ではおにぎりワークショップも実施されました。避難生活の中にある人々が、日本の子どもたちの思いとともに届けられたお米を受け取り、一緒に作り、一緒に食べる時間は、単なる食料支援にとどまらない交流の場となりました。
カンボジアの難民キャンプでは、日々の食事や安全な暮らしそのものが不安定な中で生活している人々がいます。そうした状況の中で、木島平小学校の子どもたちが育てたお米は、「本当に支援を必要としている人の今日を支える食」として使われました。現地では、日本から届いたお米に対して感謝の声も寄せられており、木島平の児童が地域で育てた作物が、海の向こうの命と希望を支える一助となったことが確認されています。

難民キャンプでの食糧支援に活用された木島平小のお米

おにぎりの炊き出しを行った
カンボジアの人々も参加したおにぎりワークショップ
難民キャンプで振る舞われたおにぎり
子どもたちにもおいしい笑顔が溢れた
生徒たちの感想――「自分たちにもできることがある」と実感
講演後に寄せられた感想では、多くの生徒が、世界の課題を“知る”だけでなく、“行動すること”の大切さを感じたと述べていました。
「考えたり調べたりするだけではなく、実行することが大切だと思った」
「助けたくても助けられないと思っていたけれど、身近にできることがあると知った」
「自分たちが作ったものが世界の人の役に立ってうれしかった」
「戦争や地雷のことを知り、自分にもできることを考えたいと思った」
といった声が見られました。
また木島平中学校白井敬教頭は「杖置きを作った生徒はもちろん、他の生徒も改めて「自分は何ができるのか」と考えるきっかけとなりました。ありがとうございました。」と感想を述べました。
これらの感想からは、木島平の生徒・児童が、自分たちの学びや制作物が本当に支援を必要とする人のもとで活用されたことを知り、平和を“祈るもの”から“行動してつくるもの”へと捉え始めていることがうかがえます。

世界のことを思う生徒の「想い」が世界の片隅で平和をつくった
木島平村から、次の学びへ
木島平村では、地域学習を通して世界へ発信する教育に意欲的に取り組んでおり、木島平中学校・木島平小学校の両校は、2026年4月からの新年度に向けても、さらに発展した「世界とつながる学び」に挑戦しようとしています。
地域の特色である林業や米づくりを、単なる地域理解で終わらせず、世界の課題解決や平和構築へとつなげていく。木島平の取り組みは、地方の学校教育が世界の現場と接続し、実際に人の暮らしを支える力になりうることを示しています。次は木島平からどのような教材や学びが生まれ、どの国の誰に届くのか。なかよし学園は、その挑戦をこれからも支えてまいります。

木島平村役場にて木島平村 村長・教育長と。木島平はルワンダに続き、カンボジアでも平和活動を行なった。
中村雄一代表メッセージ
平和学習は、知ることから始まります。しかし、知るだけで終わってしまえば、世界は変わりません。今回、木島平の子どもたちは、自分たちが地域で学び、考え、作ったものが、ルワンダやカンボジアで本当に支援を必要としている人々のもとへ届き、学びや暮らし、安全を支える一助となった現実に触れました。私はこの瞬間に、教育の大きな力があると感じています。
大切なのは、「かわいそうだった」で終わらせないことです。自分の手で作ったものが、誰かの明日を支え、その反応がまた教室に返ってくる。その往還があるからこそ、子どもたちは平和を“自分ごと”として考え、次の行動を生み出していくことができます。
木島平の学びは、小さな村の実践ではありません。地域の学びが世界とつながり、平和構築の一助となることを証明した、大きな教育実践です。なかよし学園はこれからも、学校・地域・世界をつなぎ、子どもたちの学びが本当に誰かの希望になる教育を、皆さまとともに実装してまいります。

カンボジアAkiRaの地雷博物館にて
団体概要
団体名: 特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト
事業内容: 世界とつながる学び(CoRe Loop)を軸とした探究・平和・包摂教育プログラムの企画運営/国内外の教育・食・心のケア支援 等
本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト(事務局)
E-mail: peace.office@nakayoshigakuen.org