安曇野市の安曇野高橋節郎記念美術館(安曇野市穂高、TEL 0263-81-3030)内の「南の蔵」で現在、オートバイの廃パーツを使った作品展「鉄クズTRANSFORMER Vol.2 -宇宙-編」が開催されている。
ねじでできた「ねじ人」が宇宙空間で遊んでいる姿を表現したパネル
同展は、市内でオートバイの販売などを行う「ジャンクバイクガレージ キックス」を営む造形作家・MATEO(本名=太田光亮)さん(37)と、塩尻市で革製品などをメーンに制作する-San-(本名=中藤三史郎)さん(31)の二人展。「宇宙」を共通のテーマとし、互いが思い描く「宇宙」を表現している。
MATEOさんは「ねじ惑星」という架空の惑星の風景を表現。いくつものパーツを組み合わせてできたねじ惑星の住民「キャブレオ」や宇宙船などを制作した。宇宙船には乗務員を乗せるなど細かい演出も。キャブレオはガッツポーズをしていたり眠そうに目をこすったりと、ポーズもさまざま。「おりの中にとらえられているキャブレオは、自分が制作に行き詰ってもがいている姿を表現した」(MATEOさん)という。「使用するパーツが決まれば1日で1体作れる。決まらないと悩んでなかなかできないが、それも楽しみの一つ」。このほか、ねじだけで作った「ねじ人」や、ねじ人が宇宙空間で遊んでいる立体的なパネルも展示する。
-San-さんは、破損した人工衛星やロケットなどの破片(宇宙ごみ)が宇宙をさまよっている様を表現したパネルやオブジェなどを制作。天井からは革で作ったネックレスを飾り、星に見立て展示スペース全体で宇宙空間を表現した。「宇宙ごみは回収不可能なので、減らすように考えてほしいというメッセージを込めた」(-San-さん)。
-San-さんはオートバイの再生や修理も行っており、MATEO さんの店で部品を購入する常連客だった。MATEOさんが個展を開催しようと計画していたところ、-San-さんが「自分も作品を作ってみたい」と合同展示を行うことにしたという。「お互い同じパーツを使っていても表現するものが全く違うので面白い」と-San-さん。MATEOさんは「今まで1人で活動してきた。初めて一緒にやりたいと言ってもらえたので、うれしい」と笑顔で話す。「今では生産していない部品も使っている。物を大切にし、なくなっていくことさえ気付かれないものの中にある何かを伝え続けていきたい」。
開館時間は9時~17時。月曜休館。入場無料。8月29日まで。