松本市を中心に美術館、博物館、あがたの森公園など約50カ所で開催される工芸イベント「工芸の五月」が4月29日から始まる。
同イベントは今年で4回目。5月31日までの約1カ月間、松本市を中心にギャラリーや美術館などで展示やワークショップなどを行う。現在、先行して松本市美術館では「型絵染・三代澤本寿生誕101年展」、松本民芸館では「生活を着る 刺子展」が開催されている。
「まつもと城下町湧水群」と工芸をつなぐプロジェクト「みずみずしい日常」では、さまざまなイベントを開催。「旅行社みずのさんぽ」は、暮らしを楽しむ街の使い方を提案・実践している「人場研(まんばけん)」(茨城県つくば市)と信州大学工学部建築学科の学生が企画。「わき水のある暮らし」と「工芸」を結び、街歩きを楽しめるような6つのプランを用意する。池上邸(松本市中央4)の蔵内にオープンする「池上喫水社」はガラス工芸作品による水出しコーヒーを提供する。8時間かけて抽出するコーヒーは、中心市街地の井戸6カ所のわき水を使用。一般家庭の協力を得て、普段から飲んでいるわき水を提供してもらう。蔵内にはガラス製の器具をそれぞれの井戸と同じ位置関係で並べ、「水と工芸と街」を感じさせる演出も計画している。
5月29日・30日は「クラフトフェアまつもと」を開催。1,400組近くの応募の中から選考委員会によって選ばれた約260組が展示・販売を行う。両日は「バスDAYまつもと」とし、市内で運行されている松本電気鉄道のバス26路線と、市西部地域コミュニティーバス4路線の運賃をすべて乗車1回100円(小学生以下は無料)にする。松本電気鉄道のバスが1日乗り放題になる「フリーパス券」(300円)も販売、フェア会場周辺の渋滞解消を目指す。
主催の「工芸の五月実行委員会」では公式ガイドブックを制作。企画紹介や地図、参加店舗の情報だけではなく、工芸作家の座談会などを掲載。「単なる宣伝のための冊子ではなく、作家の思いや、松本で暮らす人のことが少しでも伝わればと思って制作した」と企画室の倉澤聡さん。「ガイドブックを手にして街を歩き、松本の新たな魅力を発見してほしい」と来場を呼びかける。