現代美術作家・トザキケイコさんの個展「いのちの流れにあかりをともす」が現在、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。
モビールや糸かけ曼荼羅(まんだら)、絵画、オブジェなど多彩な作品約30点を展示する。モビールは、プラバンにやすりをかけてマットな質感に仕上げたものや、石、木の枝、木製のボビンや工具のパーツなどを組み合わせている。「手が動いて出来上がる形から、主役を決めてほかを脇役のように配置したり、大きさや素材感のバランスを取ったりして作っている」とトザキさん。真ちゅうを用いたヒンメリもある。
絵画「彩(さい)のゆらぎ」シリーズは、シュタイナー教育で取り入れられているにじみ絵の手法がベース。大きな紙に色の三原色の水彩絵の具を垂らして色をにじませ、フレーミングして切ったものを額装している。幾何学模様を描いた作品は、「人類の意識の変化」を「未分化」「分離」「統合」の3段階で表現。最後に油を塗布して、独特の質感に仕上げた。
森で拾った朽ち木にピンを刺し、糸をかけて幾何学模様を描いた作品もある。「無作為な自然物が心地いいし、自分もそういう状態でありたい。子どもの頃は感じられていた『自然とつながっている実感』をつなぎ直している」とトザキさん。七輪で焼いたという陶製のオブジェは「祈り人」と名付けた。「焼き上がったときに自分の手を離れた、無作為の力を感じる。コントロールできないことに興味がある」とも。
同ギャラリーでの展示は、2016(平成28)年以来3回目。前回の展示の頃から地元の岐阜県で、絵画や糸かけ曼荼羅、ヒンメリなどを作る「夜明けの美術学校 ともしび」の活動を始めた。教室やイベントをきっかけに、自身の作品が生まれることもあるという。
展示初日の2日には、糸かけ曼荼羅や真ちゅう製のヒンメリを作るワークショップを行った。糸かけ曼荼羅は、2時間半かけて完成。4人の参加者が作品を見せ合い、「作ることで癒やされた」「集中できたことがよかった」など感想を語り合った。トザキさんは、「うまい下手ではなく、個性が出ることが本来のアートの姿だと思う。絵を描くことに慣れていない人や、美術は難しいと感じている人にも楽しんでもらえるような、アートを体感できる機会をつくりたい」と話す。
価格は、絵画=1万円~、モビール=2万円など。営業時間は10時~18時。日曜・月曜定休。7月30日まで。29日、30日はトザキさんが在廊し、ワークショップを行う。予約は同店まで。