茅野市に「鴨工房」を構える鴨瑞久さん・暁子さん夫婦の陶展「なにかあたらしいもの」が現在、松本市のギャラリーカフェ「Gargas(ガルガ)」(松本市深志3、TEL 0263-39-5556)で開催されている。
紙製のあんどんから派生させ作った、陶器のオブジェや花器、時計
昨年秋に続き2回目となる同展では、瑞久さんの作品を中心に紹介。車のオブジェ、皿やマグカップのほか、バッジや積み木のようにして飾る小さなブロックなど、約300点を展示する。皿とマグカップは、白や紺色のシンプルなものから、水玉プレートといった模様が入っているものまで多彩に表現。暁子さんも薄手の片口器を出品する。
陶器の家のオブジェ隣には、小学2年生の息子が作ったという紙製の「あんどん」が並ぶ。折り紙で組み立てた骨組みに、書き初めの紙を貼り、外側に鳥や花の絵を描いたもので、中の空洞部分にライトを入れることができる。息子の制作風景を見ていた瑞久さんが「面白そうだな、自分も作りたい」と、陶器で同じデザインのものを制作した。「息子の作品から派生させ、鳥の花器や時計などの焼き物もできた。こうやって作品を作るのは初めてで、楽しんで作りたい自分と、もっとこうした方がいいと意見する自分がいて、そのせめぎ合いの中で『新しいもの』が生まれた」と瑞久さん。
フランス車のシトロエンのオブジェは、車の接着部分やボンネットを開いたときに支える針金以外、全て陶器で、細部まで忠実に再現。図面を描いて型紙を作り、板にした粘土を切ったり、曲線の部分はろくろで形成したものを使ったりして、パーツを制作した後、組み立てる。小さい車のオブジェに合わせて制作したという家の模型は「一体感が出るように」と、今までバラバラに作っていた工程を見直し、統一感のある色味が出るよう意識して仕上げた。「仕事で、いろいろな色の焼き物を頼まれることが多い。たくさんの人との出会いの中で、いい色が発見できている」と話す。
シトロエン・Hトラックの制作工程を見られるリレー制作展示も行う。出来上がったパーツを用意し、工房と同ギャラリーを「リレー」しながら期間中に1~3台完成させる予定。「これからもライフワークとして、車の制作を続けていきたい。見応えのある数になったら、車だけの展示会もしてみたい」とも。
価格は、鳥の置物=550円~、やきものブロック=1,650円、カーバッジ=880円など。営業時間は11時~19時。9月26日まで。瑞久さんの在廊は週に1度を予定する。