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大雨被害で運休続く上高地線 「地元から声を」早期復旧願い、メッセージ募る

「一人でも多くの人に参加してもらえれば」と呼び掛ける太田さん(右)と堀田さん

「一人でも多くの人に参加してもらえれば」と呼び掛ける太田さん(右)と堀田さん

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 8月中旬の大雨で被災した松本市のアルピコ交通上高地線の早期復旧を願い、同線の駅などで本の展示販売イベントを行う「しましま本店実行委員会」が、「上高地線田川橋梁(きょうりょう)早期復旧応援プロジェクト」を立ち上げ、活動を開始した。

橋脚が傾いた上高地線田川橋梁の様子

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 同線では、西松本駅と渚駅の間にある田川橋梁の橋脚が傾いたため、松本駅-新村駅で運休が続いている。25日、公益財団法人鉄道総合技術研究所(東京)などが現地調査に入った。今後はアルピコ交通が提案を受けて復旧策を検討する予定だが、工事に着手できるのは川の水深が浅くなる11月以降、費用は最低でも数億円規模になる見通しだという。

 「しましま本店」は、2016(平成28)年11月、新村駅構内にある新村車両所で初開催。以降、定期的に駅や電車車内で本にまつわるイベントを行ってきた。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止したが、今年4月からは、幅広いジャンルの文庫本200冊余りを用意して、下新駅を「小さな本屋」に見立てた「本の駅・下新文庫」を月1回のペースで開いている。

 実行委員会代表の太田岳さんは「一般に鉄道の災害復旧には協調補助制度が採られる。国、長野県、松本市の足並みがそろうことで、早期復旧が実現すると考えている」と話す。臥雲義尚松本市長は17日の定例記者会見で、支援を検討する考えを示しているが、「早い段階でこうした意思表示があったことは非常に心強いが、県や国にも働き掛けるためには、沿線地域に関わる一人一人の応援や、『上高地線が必要だ』という声が欠かせない」と力を込める。

 プロジェクトでは第1弾として、SNSを通じた早期復旧に向けたメッセージを募集する。「SNSパネル」を「本の駅・下新文庫」をはじめ、駅や市内の店舗に設置。パネルで撮影した写真やメッセージは、「#はしれ僕らの上高地線」「#assist4040」というハッシュタグで投稿を呼び掛け、一部は駅などで掲示を予定する。

 8月28日・29日に行われた「本の駅・下新文庫」では、収益の一部を支援に充てようと、手拭いやピンバッジなどオリジナルグッズを販売。下新駅近くにある「亀田屋酒造店」(松本市島立)の堀田祐一朗さんも駆け付けた。「最寄り駅でのイベントなので、コラボ企画をしようと話をしていたところ、今回の災害が起こってしまった。早期復旧は私たちの願いでもあるので、何か一緒にアクションをしていきたい」と堀田さん。

 太田さんは「もともと、地域の人たちとつながりを生み出したいと思って始めたイベント。早期復旧に向けても、楽しく参加できる仕組みを作りながら、同じ気持ちを持つ人たちの輪を広げていきたい」と話す。今後は、協力企業なども募っていきたいという。

 次回の「本の駅・下新文庫」は、9月11日・12日10時~16時を予定する。

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