塩尻市の塩尻西小学校で「西の子サマースクール」が行われた。
今年で3回目となる同スクール。宿題や一人一研究の支援に加えて、今回は県内外の大学生や社会人を講師に迎え「生きる力を育む教育」を初めて企画した。7月27日~31日、8月21日・22日の計5日間実施。「哲学って難しい?みんなで哲学のことを考えよう」、VR体験を交えた「タイムマシンができたら戻りたい場所を見つけよう」など多彩な特別授業を展開した。
8月21日に行われた「体を動かしながら算数しよう!」は、信州大学教職大学院の赤羽晋治さんが講師を担当。子どもたちは9つのグループに分かれた後、校内に設けられた3つのチェックポイントを巡り、ミッションに挑戦。道具を使ったり、メンバーと相談したりしながら、工夫を凝らして「重さ」や「長さ」を測った。
理科室では、ストローや風船、厚紙を使って、「未来のくるま」「未来のまち」づくりをする児童や、一人一研究を黙々と進める児童も。図書室では、分からないところを先生やスタッフに聞きながら多くの児童が夏休みの宿題に取り組んでいた。
同校では、昨秋、通学区内にある大門商店街の空き家を利用して活性化を図るプロジェクト「nanoda(ナノダ)」と連携して、「西の子とおそうじなのだ!」を社会科の授業の一環として実施。3年生約60人が、3カ所に分かれて空き家店舗の掃除を行い、地元の人に話を聞いて交流を深めた。同校の高坂由美子教諭が「サマースクールで、多様な学びの機会を設けたい」とナノダ代表で市企画政策部企画課の山田崇さんに相談し、半年前から準備を進めてきた。「市は、大手企業や大学生たちと一緒にさまざまな活動をしている。そのつながりを、子どもたちにも生かせることができればと思った」と高坂教諭。
昨年の3倍ほどの児童が参加し、保護者からも大きな期待を寄せられたという。「投げ掛かけたことに反応して、子どもたちが自分の言葉で表現・発信する楽しさを感じてほしい。いつも学校にいる先生とは違う『大人』との関わりを通じて、成長してくれている」と高坂教諭。市企画政策部地方創生振興課の三枝大祐さんは「皆の目がキラキラしているのが印象的だった。教えてもらう、聞かれたことに答える、だけではない『自ら考える』活動の種まきになれば」と話す。