松本パルコ(松本市中央1、TEL 0263-38-2111)屋上で夏至の6月21日、「アコースティックキャンドルナイト」が行われた。
同イベントは、松本パルコと信州大学の学生が発行するフリーペーパー「隙間(すきま)」によるコラボ企画。パルコが「隙間」にスポンサー協力したことからつながりができ、同大学人文学部3年の新美正城さんが音楽イベントの企画をパルコ側に持ちかけたところ、「アコースティックなら」という返答があったため、夏至に合わせたキャンドルナイト・ライブとして実現した。「個人的にキャンドルナイトには興味があった。パルコとしても環境プロジェクトに取り組んでいるので賛同した」と同店の高田智恵子さん。
当日は、事前応募で当選した40人が集まった。観客には、同店テナントのイタリアンレストラン「5HORN(ファイブホルン)」からワインなどのドリンクサービスも。ワインはフランス産のスパークリングワインと、チリ産の赤・白ワインを用意。「フランスでスパークリングワインは『幸せを飲むドリンク』とされている。チリ産を選んだのは、2月に起きた大地震で亡くなった方たちへの追悼の意味を込めた。今夜にふさわしいと思うワインを選んだ」とファイブホルンの木村店長。
特設ステージは、松本在住のキャンドル作家・西牧隆行さんによる大小さまざまなハンドメードキャンドル50本を、アーティストを囲むようにセッティング。風が強く、消えてしまうキャンドルをスタッフが何度もつけ直すというハプニングがあったものの、開始時間が近づくにつれて風も弱まり、同店閉店の20時になるとネオン看板の明かりが消え、一層幻想的な雰囲気に。ライブは、アコースティックシンガー・玉屋さんと3人組の「coccas(コッカス)」が優しいメロディーの曲を奏で、観客はリラックスした雰囲気で楽しんでいた。友人に誘われて来たという松本市の山口綾子さん(27)は「余計なことを考えず、風や空気を感じてリラックスして聴けた。すごくよかった」と話した。
玉屋さんは、新美さんがライブに足を運んでいたことがきっかけで出演のオファーを受けたという。「屋外は初めて。しかもこんなキャンドルに囲まれて…。とてもいい経験になった。いい雰囲気だったので自分の世界に入り込んでしまい…ライブの様子をあまり覚えていない」とほほ笑む。
「西牧さんもアーティストたちも松本を中心に活動している。松本ならではのイベントができて良かった」(高田さん)。「玉屋さんとcoccasは面識がなかったが、このイベントでつながったし、彼らを知らなかったお客さんともつながった。今後も『つながり』を大切にする、地元に根付いたイベントをやっていきたい」(新美さん)。