松本市内にある書店などをイラスト地図で紹介する「まつもと本屋さん地図」が現在、無料配布されている。
松本市街地と信州大学周辺の2つの地図で合計27店の書店と、雑誌やリトルプレスを販売するカフェや本が読める飲食店などを取り上げる。古書店をメーンに据え、屋根が松本城の形の「青翰堂書店」やナワテ通りの「秋櫻舎」、駅前大通にある「三洋堂書店」などを紹介。店内の様子や、蔵書の傾向、「常連(?)になるとお茶を出してくれる」などの情報をイラスト入りで掲載する。8月に初版、9月に第2版とこれまでに2,500部を発行した。
定期的に朗読会や読書会を行っている市内の喫茶店「半杓亭(はんしゃくてい)」の店長・高石則江さんが「本屋さん地図を作ろう」と店内の張り紙で呼びかけたのは昨年秋。その後、少しずつ準備を行い、年明けからは6~7人で作業を進めた。「東京の神田や谷中、金沢や仙台で『本屋さんマップ』を見かけて、どうして松本にはないのだろうと思っていた。あったらいいのに…という気持ちから、じゃあ作ってしまおうということになって」(高石さん)。昨年10月、同店で古本&喫茶「本の家」(伊那市高遠)と一緒に古本市を行ったことも、発行のきっかけになったという。
書店の情報は、取材を依頼するのではなく客として出向き、そのときの印象や感想を書き出してまとめた。「店の人に『専門は何ですか』と直接聞けばすぐわかるけど…どの分野に強いのかを自分で見て、感じて、書きたかった。すごく時間がかかるし、1日に2店も回るとヘトヘトになったけど…」と振り返る。
「これまでに閉店していく本屋さんを見てきた。これ以上、閉まるのは寂しい」と話す高石さん自身、日中なかなか休むことができず、インターネットで本を購入することが増えたという。「でもやはり実際に手に取るのとは違う。いつもなら(自分の中に)飛び込んでこないものも、目に入ってくる。そんなところが本屋さんの楽しさ。ぜひこの地図を手にしていろいろ回ってほしい」。
同マップはA3・6つ折りサイズ。市内の図書館、飲食店などで無料配布する。同店では現在、古本市を開催中(18日まで)。31日には33回目となる「宵闇喫茶朗読ノ会」を19時から予定している。