松本・高砂通りの「村山人形店」（松本市中央2、TEL 0263-32-1770）で現在、「手描き京友禅雛人形司 京都たちばな彌（や）尊正の世界」が開催されている。

　同展は、「京都たちばな彌」の人形司・片岡正博さん作のひな人形を展示。白や藤色、えんじ色など落ち着いた色合いの生地に、手描きの京友禅が施された着物を着た約20組の人形が店内に並ぶ。

　人形は片岡さんと山田和廣さん（裂地担当）、元生和義さん（金泥描・下絵担当）、宮崎芳人さん（絵付け担当）ら名工と呼ばれる職人たちが一体一体丁寧に仕立てたもの。元生さんと宮崎さんは普段は反物の絵付けを行っているため、あでやかで本格的な柄の生地に仕上がっている。そのほか、下絵原画や300種以上ある布地のサンプルを展示するほか、片岡さんがテレビで紹介された時のVTRなどを流す。

　展示品のほか、着物の色や柄などを選びフルオーダーで人形を作ることも可能。気に入った色の生地がなければ一から染めることもあるという。また、手持ちの着物などの生地を使って作る「想い出雛（びな）」の制作も。

　同店には「自分用のひな人形」を求める大人の女性が訪れることが多いという。「今、そういう方が全国的に多いのでは」と同店の村山謙介さん。「以前、88歳のおばあちゃんが来店したとき、『孫に買うのかな』と思っていたら、『自分のひな人形は姉のおさがりだったから』と自分用に買っていったこともあった」という。

　「片岡さんの人形は落ち着いた雰囲気なので、場所や季節を問わず長く飾ってもらえると思う」と村山さん。「自分だけのひな人形に出会ってほしい。いろんな人に見てもらいたい」とも。

　作品はすべて販売も行う。展示品＝20万円～、オーダー品＝30万円～。営業時間は10時～18時。11日は片岡さんが来店する。10月12日まで。