松本パルコ前にある「みすずや」(松本市中央1、TEL 0263-35-2708)で販売している「あんむぎ」が人気を集めている。
同商品は国産大麦の粉と砂糖と上焼粉を混ぜたものの中に、自家製の餡(あん)を詰めたもの。粉を混ぜるところから個装まですべて手作業で作っている。「昔からあるものだし、たくさん食べられるようなものでもないが…。でも素朴さがいいのか、多くの人に喜んでもらっている」と店長の新村徹さんは話す。
作っているのは新村さんの実家「美篶屋(みすずや)製菓所」(新村)。1868(明治元)年創業の老舗で、落雁(らくがん)などの和菓子を作って市内の菓子店などに卸していたが、両親の高齢化に伴い、3年ほど前に製造をやめていた。しかし昨年6月、市商工会議所から「老舗企業」の認定を受け、「せっかくだから」と両親が製造を再開。新商品として同商品を作り始めた。
口コミなどで人気が広がり、今年に入り地元紙で取り上げられたこともあり、問い合わせが増えたという。当初は製菓所で販売していたが「頑張る両親の姿を見て、何かできることがあればと思って」と新村さんが経営する「HONEY-BE」のディスプレースペースだった場所を改装し、同商品の扱いを始めた。
全く違う仕事に就いた新村さんだったが、「140年続いた名前を残したい」という思いがある。店内には落雁の木型をディスプレー。長年使ってきた木型は変色したり、すり減ったりしていて、年季を感じさせる。「『型を売ってください』と言われることもあるほど」(新村さん)。
一つひとつ手作業で作っているため、大量には作れない。「まとまって注文が入ると、店が終わってから(自分も)実家に行って作っている」と新村さん。「70、80近い両親が喜んでいることがうれしい。『みすずや』の名前をこれからも残していければ」(同)。
価格は1つ80円。化粧箱に入った10個入りは850円。餡の入っていない麦落雁は1袋50円で販売する。営業時間は11時~19時30分。